“自分らしさ”の見つけ方とは?人気振付師・NOPPO×Jillian Meyersが明かす過去の苦労とオリジナリティの形成【s**t kingz】
アメリカで自分の個性を認めてもらえた経験が大きかった
――今回、2人がコラボレーションする公演『GOOFY~マヌケな2人の間で~』は、“距離”や“感覚”がテーマに掲げられています。「居心地が良い」と感じる他者との距離感は人それぞれですが、そもそも自分に自信を持っていないと心の距離を縮められませんよね。2人は圧倒的なオリジナリティとスキルを武器にダンス界で唯一無二の存在になっていますが、いつ頃から“自分らしさ”に自信を持っていましたか? NOPPO 僕は幼なじみのkazukiと同じダンススクールに通っていて、小さい頃から先生に「君たちは、足して2で割ったらちょうどいいね」と言われてきたんです。確かに僕とkazukiは好きなダンスの方向性が違って、二人が合わさればバランスの良いダンサーになったかもしれない。でも僕としては自分らしさを認めてもらえなかった気がして……大人になってもその言葉が頭の中で引っかかっていました。でも20代前半でアメリカに行ったら、周りのダンサーが「お前のダンス、ヤバいな!」って、ストレートな言葉で褒めてくれるんですよ。それがきっかけで、自分に自信を持てるようになりました。 ――アメリカのダンスコミュニティには、周囲との違いを否定したり矯正させようとするのではなく、個性として讃える文化があったんですね。 NOPPO まさにそうですね。だから僕も「このままでいいんだ」と思えたし、それからは自分も他者に対して素直に「すごいね!」と言える人間になれました。人との距離感が変わったきっかけのひとつかもしれませんね。
自分の頭の中にある好きなものを信じるしかない
――Jillianさんも若手の頃は悩む時期がありましたか? Jillian 振り返ると、ダンスを始めたばかりの頃は、とにかく「上手く踊ること」を重視していました。当時はアーティストのライブやミュージックビデオでバックダンサーを任せてもらうことが多かったのですが、その現場では自分のエゴを封印して、楽曲の世界観に自分をフィットさせることが求められるので。その後、自分の作品を作るようになって、ようやく自分の内側と向き合うようになったんです。「自分は何が好きで、何を表現したいのか?」。それを見つけるのは簡単ではなく、もちろん悩んだ時期もあります。 ――その状況をどうやって打開しましたか? Jillian 一時期、公園や図書館を舞台に踊る特殊なダンスカンパニーに所属していたんです。そこでは5分間のソロダンスを求められて、音楽も振付もコンセプトもない状況で自分の表現を見せなければなりません。その不安に打ち勝つためには、自分の頭の中にある好きなものを信じてあげる必要がありました。そういう経験を通して、少しずつ自信を積み上げていきましたね。 NOPPO 僕の中では、Jillianは出会った頃から自分のスタイルが確立していたし、オンリーワンな存在だったんですよ。そんな彼女でも悩んだ時期があったなんて、ちょっと嬉しいですね。親近感を抱きました(笑)。 Jillian 今でも、自分らしさを探している途中ですよ。