夏のボーナス予想3・5%増 静岡経済研究所、物価高で消費効果は限定的
静岡経済研究所が23日発表した静岡県内民間企業の2024年夏のボーナス予想は、1人当たりの支給額が前年比3・5%増の40万8200円で、3年連続のプラスとなった。物価や光熱費の高騰が続く中で消費者の節約志向は根強く、「今夏の増額は個人消費の大幅な回復にはつながらない」と分析した。 人材獲得競争の激化や物価高を背景に高まる全国的な賃上げ機運のほか、円安による輸出関連企業の業績回復が増額に寄与した。中小・小規模事業者でも大手の水準には届かないものの、人材流出防止のためにボーナスの上乗せが広がるとみている。ただ、新型コロナウイルス禍の影響で減少した21年からの反動増が生じた22年水準(3・9%増)には及ばない。 一方、3月の消費者物価指数は前年同月比3・1%増で、実質賃金も24カ月連続のマイナスが続いている。担当者は「増額分は光熱費や食品の上昇分に充てられるのでは」と指摘し、ボーナス増額による消費マインドの改善効果は限定的とみる。 規模別の推計では従業員30人以上の企業が47万2800円(3・6%増)、29人以下は27万4800円(2・9%増)。支給総額は4・4%増の4885億円、対象者は0・9%増の119万7千人と見積もった。 調査は鉱工業生産指数や有効求人倍率などボーナス支給額と相関が高い経済指標を参考に、統計的に算出した。
静岡新聞社