海外メディアはNHK杯SPコストルナヤ世界最高得点絶賛も4回転挑戦なら「紀平にチャンスがあるかも」
フィギュアスケートのグランプリシリーズ第6戦NHK杯の男女シングル、ショートプログラム(SP)が22日、札幌市・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われ、ロシアのアリョーナ・コストルナヤ(16)が、SPの世界最高得点となる85.04点で首位スタートを切った。前世界記録保持者の紀平梨花(17、関大KFSC)は79・89点で2位につけた。2人共にトリプルアクセルを成功。海外メディアは2人の高レベルの対決に注目し、速報でコストルナヤの世界最高得点マークを報じた。 米国のNBCスポーツは「コストルナヤがNHK杯の初日で3つの記録の1つを樹立」との見出しを取り、「国際スケート連盟は2018-19年シーズンの始めに採点システムの変更によりフィギュアスケートの記録をリセットした。その一時的に記録されていたSPの最高得点が金曜日に塗り替えられた」と記し、ペア、アイスダンスの記録に加えて女子シングルでコストルナヤが世記記録を更新したことを伝えた。 記事は、4月の世界国別対抗戦で紀平が記録した83.97点が更新されたことを紹介して2人の演技を比較した。 「両選手はトリプルアクセルから入り、ともにトリプル―トリプルのコンビネーションを着地させた。だが、コストルナヤが、技術点のすべてと演技構成点でわずかに紀平を上回った。紀平はトリプルループで減点された」と、紀平が後半に跳んだ3回転ループの着地が不完全で出来栄え点、基礎点でマイナス評価がつけられたことを説明した。
紀平の4回転サルコー挑戦に注目
五輪競技をカバーしている総合サイトの「オリンピック・チャンネル」は2人の対決を「コストルナヤがNHK杯でSPの世界記録を打ち破る」との見出しを取り詳細に報じた。 記事は「ロシアのコストルナヤによる荘厳なSPが金曜日に札幌で行われたNHK杯を支配した。16歳(のコストルナヤ)は申し分のないトリプルアクセルを着地させて世界新記録となる85.04得点を出し、なぜ、彼女が現在のフィギュアスケート界で最もホットな才能の1人であるかを証明した」と絶賛した。 そして「アレクサンドラ・トルソワ、アンナ・シェルバコワが、それぞれに割り振られたグランプリシリーズで勝利している。コストルナヤがNHK杯で勝利するとグランプリ6大会がすべてシニアデビュー1年目の3人のロシア選手のものとなる。この日は、普段のスケートを下回る演技で、4位に落ち込み目に涙をためた世界チャンピオンで五輪覇者のアリーナ・ザギトワを忘れる1日となった。昨年のNHK杯を勝ち、一躍注目を集めた紀平は米国のカレン・チェンを上回り、この日は2位につけた」と続けた。 また「コストルナヤにはミスがない」という点をクローズアップ。 「トルソワやシェルバコワと違い、コストルナヤは4回転ジャンプを武器として持ち合わせていない。FSでは不利になるが、3回転アクセルが最も高い得点要素となるショートプログラムでは、それは問題にならない。そしてフランス杯の勝利から、3週間後、コストルナヤは能力を最大限に引き出して技術面、芸術面の両面で素晴らしい滑りを見せた」と、4回転を駆使するトルソワ、シェルバコワとの違いを分析。 「トリプルアクセル、トリプルルッツ、トリプルフリップ―トリプルトゥループのコンビネーションの3つのジャンプにミスはなく、技術点で49.38点の大量得点につながった。彼女の合計85.04得点は今年の世界国別対抗戦で紀平が記録した83.97点を破った」と伝えた。 記事は日本のエース、紀平についても触れ、「紀平は最後の滑走選手として素晴らしい演技を見せて地元の観客を喜ばせた。コストルナヤのようにカナダ杯での準優勝選手(の紀平)は優れたトリプルアクセルを成功させて79.89点で2位につけた」とトリプルアクセルを着氷したことに注目。 今日23日のFSでの決着に向け「FSで紀平は4回転サルコーを試すことをほのめかしており、この日のトップとの差を縮める(逆転)チャンスがあるかもしれない」と、紀平が公式戦で初挑戦する可能性のある4回転サルコーがコストルナヤを逆転する秘密兵器になる可能性を示唆した。 フィギュアスケート専門サイトの「ゴールデンスケート」も「コストルナヤが、マックス・リヒターによる曲に乗りミスのない演技を見せ女子SPの世界最高得点を樹立した」と伝えた。 2位につけた紀平についても紹介。 「紀平もトリプルアクセルとトリプルフリップートリプルトゥループを滑らかに着地させたが、トリプルループでは着地を乱した。2019年の四大陸選手権の覇者(の紀平)は『International Angel of Peace』の曲に合わせ、とても優れたレベル4のスピンとフットワークを見せて技術点を得て79.89点を獲得した」と称賛。 同メディアもまた「2018-19年の全日本選手権で銀メダル選手(の紀平)は、4回転サルコーをFSに組み込むかどうかを決めようとしている」と、紀平のFSでの4回転サルコー挑戦に注目していた。