ポルシェとアマンが東南アジアで高級マンション建設 なぜバンコクなのか
ポルシェやアマンといった高級ブランドが、タイのバンコクに相次いで高級マンションを建設している。なぜアジアのなかでもバンコクなのか。 【画像】アマンが日本で建設中のリゾート
60億円のマンションも
高級自動車メーカー・ポルシェと高級ホテルブランドのアマンが、それぞれのブランドコンセプトを盛り込んだ超高級マンションをタイのバンコクに建設している。国際的な不動産投資家やタイの富裕層を惹きつけて話題だ。 米メディア「ブルームバーグ」によると、ポルシェはタイの大手不動産会社と提携し、スクンビット地区に21階建ての高級マンションを建設中。2028年に完成予定で、価格は1500万~4000万ドル(約23億~60億円)に設定されている。 ポルシェが過去に米国フロリダや、ドイツで建設した不動産と同様、車好きのために独特なガレージがデザインされていることが特徴だ。ポルシェとしてアジア初進出となるこのバンコクの高級マンションは、部屋の大きさが最大1135平方メートルと広く設計されている。 一方のアマンは、ルンピニ公園近くにホテルとマンション複合施設を開発中で、2025年初頭に開業を予定している。マンション33戸のほとんどが売却済みだという。 両ブランドの相次ぐ不動産建設は、政治的な不安定さや平均的な不動産市場の低迷をものともせず、バンコクの高級不動産への需要が根強いことを示している。最近では、リッツカールトン、フォーシーズンズ、バンヤンツリー、マンダリンオリエンタルといった高級ホテルチェーンが相次いでバンコクに高級マンションを展開している。
なぜバンコクに?
バンコクは、他都市に比べて「手頃な価格でラグジュアリー」を提供できる点で差別化されていて、シンプルな規制と安定した家賃相場も魅力とされている。タイの高級マンションは2023年、中国人やロシア人を中心に購入額が25%増加した。タイの不動産開発業者にとって、高級ブランドとの提携は物件の格を上げ、高い利益を見込める魅力的な戦略となっている。 アジアの他都市を見渡すと、香港の不動産市場は冷え込んでいて、超高級地区の豪邸の価値は50%下落。また、シンガポールの不動産市場は高止まりしているものの、外国人による不動産購入には60%の税金が課されることが難点だ。こういったことも、アジアにおけるバンコクの魅力度を上げている。
タイの一般向け住宅市場も堅調なのか
一方、タイの一般向けの不動産市場は厳しい状況が続いている。家計負債の増加により銀行が新たな融資に慎重になり、不良債権の増加リスクが高まっている。これにより住宅ローンの審査通過率が低下し、住宅所有権の移転率は2024年9ヵ月間で7%減少し、25万580件にとどまった。 タイ政府は、この現状を打開するために住宅ローンや自動車ローン、個人ローンを再構築し、返済期間の延長や金利の一時停止を検討しているが状況は改善していない。さらに、タイの政治的な不安定さも不動産市場に影を落としている。
COURRiER Japon