「大谷グラブ」は今…大谷翔平選手が小学校にプレゼントしてから1年 福井県内、扱いはさまざま
米大リーグ、ナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)を11月22日(日本時間)に受賞したドジャースの大谷翔平選手から全国の小学校に野球のグラブが贈られて、もうすぐ1年になる。県内の小学校を取材してみると、当初のフィーバーは落ち着き、中には大事にケースに入れて展示しているところも。先生が体育館に持ち出してキャッチボールを促したり、多人数で使えるように備品のグラブと一緒に用意したりするなど、「大谷グラブ」の活用を探る学校もある。 【写真】「野球しようぜ」のメッセージととも展示されている「大谷グラブ」 福井新聞の「ふくい特報班」(ふく特)に、「県内にも配られた大谷グラブはどうなったの」との声が寄せられた。福井市内のある中規模校に取材を申し込むと、校長が職員室前の廊下に案内してくれた。 今年1月に届いたグラブは右利き用の大小2個と左利き用1個。一つずつプラスチック製の透明ケースに入れ、「野球しようぜ」などの大谷選手のメッセージとともに展示している。校長は「手にとる児童もいますよ」とケースのふたを開けて、きれいなグラブを取り出してくれた。貸し出しを申し出れば休み時間などに使えるが、「最近はあまり借りにくる児童はいない」と苦笑いを浮かべた。 グラブが届いた際は児童に回して触ってもらい、その後は職員室に保管し児童に貸し出している学校は少なくない。ただ、ある中規模校では「ほかのスポーツや遊びをする子も多く、届いたころほど借りにこない」、別の大規模校の教諭は「グラブは三つだけなので使い方は限定的。児童数が多いと体育の授業で使うには難しい」と打ち明けた。 個数やスポーツの多様化、安全面などを理由に各校が活用に苦心する中、福井市の順化小(児童数122人)は大休みと昼休みのたびに、当番の教員が大谷グラブと軟らかいボールが入ったかごを職員室から体育館に運び活用を促している。取材に訪れた日の昼休み、6年の男子児童2人が「グラブを使うのは久しぶり」と言いながらキャッチボールを始めると、ほかの高学年男子も「やらせて」と順番待ちに。記者の撮影が一通り終わってもキャッチボールは続いた。 あわら市の北潟小(児童数49人)は多人数でも使えるように、備品のグラブ数個と一緒に職員室前に用意。ソフトボール大の軟らかいボールを使い、体育館でキャッチボールができるようにしている。貸出簿には多くの児童の名前があり、常連の6年の女子児童は「大谷グラブのおかげでキャッチボールしてみたいと思った」と笑顔。体育主任の男性教諭(34)は「せっかくのグラブを使ってもらえる方が大谷選手もうれしいと思う。野球に限らず何かスポーツをするきっかけになれば」と話した。 × × × 福井新聞「みんなで発掘 ふくい特報班」(ふく特)は、暮らしの中で感じた疑問や地域の困りごと、不正の告発といった情報を寄せていただき、記者が取材を進める調査報道企画です。