発売前から同接26万人を突破した、“ほぼすべて”を壊せるFPS『THE FINALS』はエイム以上に「想像力」が勝利へ導く。新マップ「ラスベガス」など正式版をひと足先に遊んできた
対戦ゲームにおいて「正攻法ではない戦い方」によって勝つことで生じる快楽を感じたことはないだろうか。 『THE FINALS』画像・動画ギャラリー 自身の「アイデア」により生まれたオリジナリティの高い戦術や、相手の意表を突く立ち回りなど、自らの「想像力」をフル活用したアプローチで勝つことでのみビシャビシャと吹き出す快楽物質を求めて……。 もはや我々はアマゾンの奥地に向かう必要はなくなったのかもしれない。 なぜなら新作FPS『THE FINALS』をプレイすれば、自ずと「想像力で勝利を目指す」こととなるからだ。 本作は、フォトリアルなグラフィックのオンラインFPSであり、同時にフィールド上の壁面や天井など「ほぼ全てのオブジェクトを爆破で破壊可能である」点でリリース前から大きな注目を集めた作品だ。オープンベータテストの時点で同時接続者数が26万人を超えている。 無論、破壊の自由度は本作に外連味のある楽しさを与える要素である。しかし、破壊は本作の「真なる魅力」を生み出すための“ひとつの要素”に過ぎない。 自由度の高い破壊システム、そして「ヒーローシューター」作品を思わせるスキルや多様なサブウエポン、「賞金」が勝敗を決するゲームルールが噛みあうことで「撃ち合いの強さ」ではなく「想像力の豊かさ」こそが勝敗を決するユニークなゲーム性を生み出している。 このたび、12月8日よりリリースされた正式版とほぼ同じバージョンをひと足お先にプレイする機会を得たため、本記事では『THE FINALS』の新要素を紹介しつつ「プレイヤーのクリエイティビティが勝利へ導く」本作ならではの魅力や各システムを改めてお届けしたい。 記事の末尾には『THE FINALS』のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるロブ・ルネソン氏と、本作の開発を担当するEmbark Studiosにてコミュニケーション・ディレクターを務めるスヴェン・グランドバーグ氏への合同インタビューも掲載するため、先行プレイを経たレポートとあわせてぜひ楽しんで頂きたい。 取材・文/りつこ 編集/柳本マリエ ■『BattleField』と「ヒーローシューター」を足して自由度バチ上げ。キャッチーな魅力がキラキラな『THE FINALS』 『THE FINALS』の概要を簡単に説明すると、本作はバーチャル空間上で開催されるゲームショー「THE FINALS」を描くFPSだ。 プレイヤーは3人組のチームを組んで試合に出場し4チームで対戦。武器やアイテム、スキルを駆使して戦いながらフィールド状のお金を集め、「最も高い金額を獲得すること」を目指していくこととなる。 資金の獲得方法はいわゆる「コントロール」や「ドミネーション」に近い形式を基調としており、サブコンテンツとしてチームデスマッチに「お金」のルールを追加したような「コインダッシュ」というモードが用意される。 冒頭で触れた、本作における「プレイヤーの想像力を試すゲーム性」の話をする前に、まず本作がハチャメチャで楽しい作品となっていることを紹介しておきたい。 本作では建築物の屋根や壁面、家具など殆どのオブジェクトをC4やRPG、スレッジハンマー、スキルとして登場するタックルなどで破壊することができる。 この要素は後述するゲームの戦略の幅を上げることにも貢献しているが、そんなことよりもとにかくビジュアルが見ていて楽しい。グラフィックはフォトリアル調であることから迫力が凄まじく、床や壁、天井などをブチ壊すとストレスが解消される。 この要素が「取り合えず触ってみるだけで楽しい」作品へと本作を昇華させており、間違いなく偉大な破壊システムだ。 さらに本作は、4チームで限られた資金元を奪い合うため、戦闘においてはコントロールしきれない乱戦が自ずと勃発。瞬く間に変化し続ける戦況と「あらゆるものを爆破できるシステム」によりハイテンションなバトルが展開する。 くわえて、「透明化」や「瞬間移動」「グラップリングフック」「味方を回復する銃」「タレット」などさまざまなスキルによりキャラクターのアクションも多彩だ。 これらの要素により「対戦になんとなく参加しても楽しい」ため、FPSの撃ち合いにハードルを感じている人でも“取り合えず遊んでみる”ことを是非おススメしたいし、きっと気軽に楽しめるはずだ。 ■サンドボックスゲームのような自由度がクリエイティビティを強さに変える 『THE FINALS』といえば“自身が乗ったり登ったりできるオブジェクト”を吹き出す「粘液グレネード」などのユニークな武器も忘れてはいけない。 このほかにもアビリティで設置する「タレット」をマップ上のオブジェクトに設置して“持ち歩く”ことで自動エイムの武器を作れたり、サブウエポンとして持参してマップ上に展開できる「ジップライン」や「トランポリン」が存在していたりと、いわゆる「クラフト」や「建築」を彷彿とさせる要素もかなり充実している。 破壊のみならず「建築」や「クラフト」的な能力なども充実していることで、敵が籠っている部屋の天井に穴を開けてグレネードをぶち込むことで敵を殲滅したり、むしろ爆破され射線をとおされた場所を粘液グレネードで塞ぎ防衛したり、はたまたスモークグレネードや透明化で混沌とした乱戦をしれっと切り抜けたりと、戦術の自由度がマジで高い。 「ゲーム内の原理」を駆使すれば“なんでもアリ”であることから、結果として「サンドボックス型のゲーム」のように思いついたアイデアを実現することの楽しさがある。 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『マインクラフト』といった作品など「思いついたアイデアを実現できる」タイプの優れた作品はこれまでにも無数に存在するし、クラフトや建築という点に関しては『フォートナイト』は大きな達成をしている。 いっぽう、本作においてはダイナミックな「マップ破壊要素」と共に「思いついたことをバリバリに実現できる」仕様にすることで、「アイデア」が「対戦における強い行動」に直結する作品になっているように感じた。 極端なことを言えば「思いついたアイデアをかたちにする」だけであれば1からモノを作れば良い。しかし、思いついたアイデアをかたちにすることで「敵を打ち負かす」という行動は対戦ゲームだから味わえる体験だ。 いわば自由度を対戦の魅力に直結させ、類似する従来の作品から一歩先に踏み込もうとする設計が、本作ならではのユニークな魅力を生み出しているだろう。 ■ひとりより3人。協力してスキルを使用し「アイデア」を実現する楽しさ また、本作ではプレイアブルキャラクターがライト、ミドル、ヘビーに分かれており、それぞれで性能と仕様できるスキルが異なる。 ライトは体力が少ない分機動力が高く、攻め込みやすい。ミドルはバランス、ヘビーは機動力は低いが体力は高く、マップ破壊や防衛が得意だ。基本的に各チームはパーティーで行動することが多いため、ひとりでは大型が倒しづらかったり、小型の突発的な制圧力も軽くいなされてしまったりする。 そしてこの設計は大胆な戦略も「協力することでようやく実現する」ようなゲームバランスを齎している。 これは「ひとりで全てをメチャクチャにできる」ことによって取り返しの付かない状況に陥ることを避けるのは勿論のこと、「思いついたアイデアをかたちにする」という楽しさを押し上げている。 3人がそれぞれの役割を果たし、チームで共有したアイデアを実現することで勝利を掴む。この体験は小説『愛と幻想のファシズム』や映画『シンゴジラ』といったフィクションや協力型のサバイバルクラフトゲームが人気を博しているように、とにかく気持ちが良いのである。 このたびの試遊では知人と3人でプレイしたが、以前ひとりでプレイした時にくらべ、ゲームの持ち味を体験できる機会が実際に多かった。 かなりカジュアルに遊べる作品でもあるため、ぜひ友人やゲーム仲間とともに本作をプレイして頂きたい。 ■「お金が大事」だから成立する想像力の重要性 これまでに本作のスキルと破壊要素にフォーカスしてきたが、「お金」にまつわるゲームルールも対戦ゲームとしての楽しさに貢献しているため紹介しよう。 改めて基本的なルールに触れておくと、本作では4チームに対しマップ上に2つほど存在する金庫から金属のキューブ「キャッシュボックス」を確保し、マップ上の別の場所に配置されたキャッシュアウトステーションへ輸送したのち設置し、待機時間中の防衛を完了することで勝利条件に直結する「お金」を獲得できる。 ここで注目したい点は「お金を獲得するまでのワークフロー」が長く攻め込みやすい点、そして金庫が1試合のうちに複数回出現することで、戦況と残り時間に応じて立ち回りが変化するという点だ。 まず、資金を獲得する動作に関しては金庫から「キャッシュボックス」を取り出す際、「キャッシュボックス」をキャッシュアウトステーションに収めるための待機時間が発生する。それぞれの待機時間や輸送中には「割り込む」ことや強奪を狙えるチャンスが多分に用意されているのだ。 たとえば「金庫からキャッシュボックスを獲得する」ことに失敗しても「キャッシュアウトステーション」でキャッシュボックスが運ばれてくるのを待ちぶせして襲撃したり、「キャッシュアウトステーション」の待機時間が満たされるタイミングを図って「お金を獲得する権利を奪う」といったアプローチが存在する。 つまり、「お金を獲得する」までの工数が多いことで「攻め時」と「攻め方」の選択肢が拡張されるかたちとなっている。 また、残り時間が僅かである段階で他チームと大差を付けていれば「新たな金庫」を手に入れずに「安全な場所を探して逃げ切る」ことも有効だし、はたまた獲得金額が少なければ「強豪を倒して差を埋める立ち回り」をしなければ勝てないような状況も存在する。 なので、とりあえず「キャッシュボックス」を獲得すれば良いかと問われれば決してそうではない。むしろ「4チーム全体の獲得金額」をしばしば確認することが勝利へ導く鍵となる。 ランクマッチなどで採用されるゲームモード「トーナメント」は第一試合において上位「2チーム」が勝ち上がる仕様であり、「1位のチームをそのまま勝たせて自分たちは2位で抜ける」ことも出来る。そのため、高みを目指すのであれば、いっそ「4チーム全体のお金」を意識し、金額から個々の思惑を読み取る必要がある。 このように、「お金」にまつわるシステムは『THE FINALS』のゲーム性を構築する要素としてちゃっかりと一役買っている。結果として本作の「対戦」は、大いに戦略、戦術面でプレイヤーの創造力を掻き立てるものになっているだろう。 とにかく自由度をぶち上げてくれるスキルと破壊、そして「お金」に焦点を当てたゲームルール。これらの要素により『THE FINALS』では「想像力」こそが筋肉として機能する。 無論、FPSらしく射撃スキルに左右される局面も多いものの、本作の対戦ではきっと固有の脳汁を脳みそから引き出してくれるに違いない。 ■チョケまくりの新スキン&新マップ「ラスベガス」も登場。「対戦」のみならずエンタメ要素満載の世界は更なる進化を期待させる 最後に本作の正式リリースにあわせて登場する新マップやスキンを紹介して本稿を締めくくろう。 『THE FINALS』ではこれまでフランスの地中海沿岸にある独立都市国家「モナコ」の市街地や韓国の首都である「ソウル」の高層ビルなどがマップとしてラインアップ。そしてこのたび、「ラスベガス」が新マップとして登場した。 「ラスベガス」はカジノといった複雑に入り組んだ屋内と如何にも都会らしい大通りで構成された形状のマップだ。 ユニークな要素としては警備用のセンサーが存在し、センサーに触れると銃を装備した警備用のタレットが付近の敵を攻撃する仕様となっており、実際にプレイするとこの防衛システムがなんともいやらしい。 キャッシュボックスはこの警備システムに守られているケースが多く、ただでさえ乱戦が多い本作においてじわじわとゲームに干渉してくる。世界観にマッチしている点においても粋なコンテンツであり、何より今後のマップに登場する新たなステージギミックも楽しみだ。 また、『THE FINALS』といえば装備項目が多すぎるキャラクターの着せ替え、なかでもメインビジュアルの「パンダ」をはじめとするユニークなスキンが印象的だ。 本作におけるスキンの装備項目は約15種類も存在し、特にアクセサリーの区分に関しては異常に細かい。 いわば「必要以上にスキンに気合が入っている」のだが、この懐の広さはシンプルに作品の親しみやすさをブチ上げているだろう。究極、変な服装をして走り回るだけで面白いのだから。 正式リリースではさながら「ブラック・スワン」のようなバレリーナ風衣装やアライグマのヘルメットなど、引き続きユニークなスキンが用意されている。 なかでも注目のスキンは、肩に乗せられるペットとして用意された新スキン「陰謀論者の猫」だ。直球のキャッチ―なスキンのみならず、手元で回転をかけ過ぎた結果として荒唐無稽になっているスキンは、ポストモダン文学の愛好家、関東のお笑いに慣れ親しんだゲーマーの心も掴んで離さない。 もちろん、普通にお洒落なスキンも引き続き用意されているし、武器スキンに関してはかっこいいデザインが多数用意され、新たに実装されるかたちとなる。スタイリッシュな装備が好きな方は安心して新シーズンを迎えよう。 ■『THE FINALS』開発者インタビュー ──まず、おふたりの自己紹介をお願いいたします。 ロブ・ルネソン氏(以下、ロブ氏): 私はEmbark Studiosの設立メンバーで、現在はアート、アニメーション、オーディオなど、『THE FINALS』の全てを総括するエグゼクティブ・プロデューサーを担当しています。 長年ゲーム業界に勤めており、今年で26年目のキャリアになります。 スヴェン・グランドバーグ氏(以下、スヴェン氏): Embark Studiosではコミュニケーション・ディレクターを務めていて、私たちはスタジオを設立してから5年間一緒に仕事をしています。 ──本作は、どういったコンセプトに基づいて開発されたのでしょうか? スヴェン氏: 前提として、Embark StudiosのメンバーたちはFPSゲームの開発に長らく携わっていたスタッフが多く、私もこれまでに約20タイトル以上のFPSゲームを手掛けてきました。 しかし、スタジオを設立した段階で、FPSゲームは少し古いものになってきているように感じるようになりました。そこでEmbark Studiosでは新しいFPSを目指し、「楽しさ」と「競争の面白さ」を両立させた作品を作りたいと考えました。 同時に、プレイヤーたちが、自分のプレイスタイルを望むようにカスタマイズできる作品を作りたいと思っていたので、それが『THE FINALS』のコンセプトになっています。 ──お金を奪い合って勝敗を決める形式は、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか? スヴェン氏: 先ほど述べたように、「プレイヤーたちが自分たちの体験をカスタマイズできるゲームを作る」という私たちの理想が開発の最初のきっかけとなっています。開発が2年ほど進んだ段階ではすでに骨子は定まっていました。 しかし、オブジェクトの破壊、ダイナミックなマップ、チームプレイ、戦略、アクションといった沢山の要素を楽しめるようになったとき、もう少し「動的な要素」と「静的な要素」が融合した作風にしたいと考えはじめました。 そこで「お金を取る」というルールを思いついたのです。 ──なるほど。お金のルールはあとから追加されたんですね。 スヴェン氏: はい。私たちが作りたかったのは「なんでもできる世界」であり、「楽しさ」と「競争する面白さ」を共存させたゲームプレイでした。 その理想を考える中で「バーチャルゲームショウ」というコンセプトを思いつき、結果としてゲームをプレイしながら「なんでもできる作品」を作ることができたと考えています。 ──開発にあたって、何か影響を受けたものはありますか? スヴェン氏: いろいろな作品からインスピレーションを受けていますが、特に日本の皆さまに伝えたいのはEmbark Studiosのスタッフが伝統的なアーケードゲームの大ファンであるということです。 『THE FINALS』は、他のFPSゲームから影響はあまり受けておらず、実は『鉄拳』や『ストリートファイター』といった格闘ゲームからの影響を多分に受けています。開発中には子供のころに遊んでいた「セガサターン」を開発室に持ち込んで、100時間以上さまざまな格闘ゲームをプレイし、システムを研究しました。 つまり、影響を受けているゲームは日本で開発された作品が多く、なかでも日本のアーケードゲームからの影響が強いんです。なので、日本の皆さんにはこの場を借りて感謝を述べたいと思います。 ──そうだったんですね。格闘ゲームから影響を受けていたのは意外でした。 スヴェン氏: 日本のゲームのほかにインスピレーションを受けた作品としては『イカゲーム』や『Formula 1』、『American Gladiators』などのテレビシリーズ、映画も挙げられます。 ──これまでのクローズドベータテストやオープンベータテストにて、ユーザーからどのようなフィードバックを受けましたか? スヴェン氏: ベータテストでは小さいバグやバランス調整など、さまざまなフィードバックを得ることが出来ました。数百万時間分のプレイデータを頂いて、それを分析させていただいています。 具体的にはPC上のデータ、『THE FINALS』において重要な環境管理、移動を管理するサーバ上のデータに関するフィードバックも頂いており、そういった情報をもとに武器の操作に関する調整やマップの再制作など、たくさんの修正作業を行っています。 私たちはプレイヤーと共にゲームを開発していると考えているので、本作を一緒に作っていただき本当に感謝しています。 ──本作では、年にどれくらいのシーズンが展開され、シーズン2以降ではどのようなコンテンツが提供されるのでしょうか? スヴェン氏: まだ正確にはお答えできないのですが、基本的に1シーズンは3か月程度、1年に4シーズンほど展開する予定です。 『THE FINALS』の各シーズンでは世界のさまざまなスポットを巡りたいと考えていて、現在では韓国、モナコ、アメリカのスカイウェイステーションが用意されています。具体的な時期は言えませんが、ぜひ日本も作中に登場させたいと考えており、構想は用意している段階です。 また、各シーズンを本当に特別なものにしたいと考えていて、シーズン中のイベントやバトルパスなども予定しています。シーズン2ではシーズン1とは異なるコンテンツを用意しているので、発表された暁には驚いてもらえると思っています。 ロブ氏: ライブサービスのゲームは非常に難度が高く、私たちはコミュニティと共にライブサービスの“リズム”を作り、共にサービスを続けていくことが現段階での大きな課題であると考えています。 スヴェン氏: 具体的に言えば『Counter-Strike』や『VALORANT』のような競技性を作品に組み込みつつ、同時に「ビルを破壊する」といったカジュアルで楽しい要素を用意したいと思っています。楽しく遊べるのは勿論のこと、ハードコアなやりこみプレイも可能な作品にしたいです。 プレイするひとだけでなく、配信などでゲームプレイを見る人も楽しめる作品にもしていきたいですね。 ひとつ付け加えたいのは、本作は先ほど挙げた『Counter-Strike』や『VALORANT』のようなマップを持つゲームではなく、同時に「射撃スキルが全てを決定する」ような作品でもないということです。 機転をきかせなければならない要素や、戦況を予想し辛い要素が多分に組み込まれており、周辺の環境を利用した「クリエイティブな戦い方」ができる作品であることを大事にしています。 ──『THE FINALS』をどのように遊んで欲しいのか、発展していって欲しいのか、開発側の展望があれば教えて頂きたいです。 スヴェン氏: ユーザーの皆さんには、私たちがこのゲームを開発しているときと同じ気持ちになってほしいと思っています。 私たちがこのゲームを開発しているとき、大声を出して笑い、時々キーボードを壊しながらプレイしていて、クリスマスイブにプレゼントを貰った子供のような情熱を持って向き合ってきました。 つまり、ファンたちにも私たちと同じように、ハッピーで楽しく、愛を持って遊んでほしいと考えています。 今後、銃のチャームとして「壊れたキーボード」を実装する予定もあります(笑)。 一同: (笑)。 スヴェン氏: 今後の展望に関しては、できれば10年ほど本作を長く、楽しくプレイして頂きたいですね。 ──オープンベータテストからコインダッシュが登場しました。これまでに公開されたトレーラーにおいても印象的な「コイン」は本作にとってどのような意味を持っていますか? スヴェン氏: 本作において「コイン」が重要なモチーフとして描かれているのは、私たちのルーツである昔のアーケードゲームに対するオマージュだからです。 私たちは子供のころ、アーケードゲームをプレイすべく親の財布を狙っていろいろなことをしてきました(笑)。なので、「アーケード筐体にコインを入れたい」という子供の頃の気持ちに由来して「コイン」がゲームを象徴する役割を担っています。 もちろん『THE FINALS』がバーチャルゲームショウを描く作品であり、参加者たちが「お金」を求めて戦う設定も「コイン」がフィーチャーされる理由ですね。 ──『THE FINALS』を機に初めてFPSをプレイする方へのメッセージや、『THE FINALS』の楽しんで欲しいポイントを教えて頂きたいです。 スヴェン氏: 私たちは、グローバルマーケットで人気がある作品を作りたいと考えていて、ハードコアなゲーマーだけでなく新規のプレイヤーにも楽しんで頂ける作品を作りたいと考えています。 たとえば本作では弾丸を撃たなくても、味方を回復したり、ビルを破壊したりといったアプローチでクリエイティブに楽しめます。 個人的なエピソードとなりますが、私の姉は『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオ』といった任天堂の作品を幼少期に遊んでいましたが、大人になってからはゲームで遊んでおらず、『THE FINALS』が最初の3Dゲームでした。 彼女は娘と共にベータ版をプレイした際、ずっと銃を撃たずに自分の娘を回復していたんです。それでも彼女たちは凄く楽しくプレイしてくれました。 なので、初めてのFPSとして『THE FINALS』をプレイする方は、あまり深く考えずとにかく遊んでみてください。そして、敵を射撃で倒すことのみならず、想像力を活用し、クリエイティブになって頂きたいです。 最後に言いたいことがあります。私の姉の一番幼い娘と話をしたとき、ゲームについてどう思っているかを聞くと「つまらない」と言っていました。 その理由を聞くと「私はパンダになってゲームで遊びたい」と言ったんです。なので『THE FINALS』にはパンダのスキンが存在し、結果としてベータテスト時のキーアートにもなっています。 eスポーツのプロから小さな子供に至る全てのプレイヤーが私たちにとっては重要なので、プレイヤーたちのフィードバックはとても重要です。 私たちが世界で一番のゲームを作るために、ぜひさまざまな意見、フィードバックを伝えて頂けますと幸いです。(了) バーチャルゲームショウという設定、ビジュアル表現による間口の広さ、破壊とカスタマイズ可能なスキル、そして「お金」によってクリエイティブな戦略性の双方を両立した『THE FINALS』。 開発者から実際にお話を伺うと、まさに「カジュアル層」と「対戦ジャンキー」の双方を楽しませることを目指しており、実際にプレイして「開発者のイメージ通り」の作品になっていると感じることができた。 今後の展開も注視しつつ、晴れて正式リリースを迎えた『THE FINALS』の新鮮な自由度をぜひ実際に堪能しよう。
電ファミニコゲーマー:りつこ,柳本マリエ
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