どんな名選手もてんてこまい。「○○キラー」の魅力【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第99回
みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。 プロ野球ファンには当たり前すぎて普段はまったく意識していないけど、野球をあまり知らない人がプロ野球のニュースを見ていると、物騒な単語が並んでいることに驚くことがあるそうです。ということで、本日は野球における「キラー(殺し屋)」についてお話しさせてください。 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー 野球ニュースで一番危険な香りがする文字は、「殺」でしょう。併殺、捕殺、刺殺、三重殺、挟殺......。刺殺に至っては、「刺して殺す」です。阪神の岡田彰布監督は昨年のリーグ戦の最中に、強力打線を封じ込めるリリーフ策を「一人一殺」と表現していましたが、これも野球を知らない人が聞いたら、「何かの抗争か?」と思うかもしれませんね。 野球用語自体にそんな物騒な意味がないことは承知しているのですが、普段使いしていることが不思議に思うこともあります。 キラーという言葉もよく聞きます。例えば投手だと、「左打者キラー」や「巨人キラー」などなど。大谷翔平選手や、ダルビッシュ有投手のように圧倒的な総合力を備えているわけではないけれど、なぜかその相手だけにはとびきり相性が良い投手をそう呼ぶことが多いです。 打者からすると、他の投手が相手だとそんなことはないのに、その投手と対戦する時はなぜか結果が出ない。理由はいろいろあるでしょうが、どんな選手にも苦手な相手はいるものです。 例えば投手の大谷選手も、レンジャーズの捕手のジョナ・ハイム選手をとても苦手にしていました。 ジョナ・ハイム選手が「投手・大谷」を相手に最も好成績を残したのは2022年。なんと対戦成績は、打率.412、1本塁打、8打点。全米で「大谷キラー」として名を馳せ、MLB公式サイトはジョナ・ハイム選手を、映画ヒーローのスーパーマンの弱点である架空の物質「クリプトナイト」になぞらえて紹介しました。 ヤクルトでは、村上宗隆選手が苦手としているのが、巨人の左腕のフォスター・グリフィン投手。昨年は14回対戦して四球がひとつありましたが、それ以外はすべて凡退。一般的に、左打者は左投手のほうが苦手な傾向はあるにしても、9三振を喫して打率は0割でした。 村上選手は2020年にも、DeNAの左腕のエドウィン・エスコバー投手を苦手としていて、11打数0安打でした。村上選手の打率は、2023年度は.256、2020年度は.307ですから、「苦手な投手相手だとからきしダメ」というということが数字でもわかります。 一方のグリフィン投手とエスコバー投手も、その年に飛び抜けていい成績を残したわけではありませんから、「キラー」というのは相性のよさに他ならないでしょう。