松本人志さんの名誉毀損訴訟 「スッキリ決着がつくことはなく、“うやむや”に終わることが多い」野村修也が指摘
弁護士の野村修也氏が3月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。週刊文春に訂正記事の掲載を求めた松本人志さんの名誉毀損訴訟について語った。
松本人志さんの名誉毀損訴訟、文春側は「記事は事実」と反論
ダウンタウンの松本人志さんから同意なしに性的行為をされたとする女性の証言を報じた『週刊文春』の記事で、名誉を傷つけられたとして訂正記事の掲載を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3月28日、東京地裁で行われた。文春側は「記事は真実だ」として請求棄却を求め、争う姿勢を示したが、松本さん本人は出廷しなかった。
名誉毀損の裁判で争点となるのは
飯田)この裁判で争点となるのは、どんなところでしょうか? 野村)名誉毀損訴訟の場合、いま訴えている松本さん側は自分の名誉が傷つけられ、社会的信用が低下しているという事実をまず言うわけです。それで相手方が争わなければ、名誉毀損の裁判は決着して原告の勝ちになるのですが、当然、訴えられている文春側は、(記事を)書くからには理由があるのだと主張します。 飯田)週刊文春の方は。 野村)1つは公共的な目的があって、公益的に書く必要があるのだと。そして真実ないし、真実相当性をきちんと確保した上で書いたとなると、「違法性が阻却される」と言いますが、違法ではなくなり、名誉毀損の損害賠償請求は棄却されることになるのです。
「誰が見てもこれは真実に違いない」というところまで取材した上で書いている、となれば名誉毀損にはならない「真実相当性」となる
野村)いまは原告側の方が「自分の信用を傷つけられた」と言っていますが、これから文春側の方も公益性、公共性、真実相当性を主張、立証していく形になるのだと思います。 飯田)公益性、公共性に関しては「有名人である」という部分があるかも知れません。しかし、「真実相当性」と表現されるものは何なのでしょうか? 野村)真実そのものを書いていれば、名誉毀損の損害賠償を払う必要はないということです。しかし、そこは必ずしも明らかにならない。刑事事件でもありませんし、原告側は「真実ではない」と言うわけですから。ただ、まったく報道できないわけではありません。しっかりと調べて裏取りを行い、「誰が見てもこれは真実に違いない」と感じるところまで取材した上で書いたのであれば、それ自体は名誉毀損ではなくなるので、「真実相当性」という言い方をしているのです。 飯田)さまざまな方から証言を取って、「1人の話だけを信じたわけではない」ということが問われるのですか? 野村)よく報道するときに「裏は取れているのですか?」と言うではないですか。それがしっかりと行われていたのか、それとも一方的な言い分を特に確認せず書いてしまったのかどうかが争点になると思います。