子ども食堂9000カ所超 公立中学校と同水準 「社会インフラ」に
全国の子ども食堂を支援する認定NPO法人むすびえは14日、2023年の子ども食堂の数が公立中学校数に迫る9131カ所となり、過去最多を更新したとする調査結果を発表した。小学校区内の子ども食堂の有無を表す「充足率」も全国平均で初めて3割を超え、物価高に苦しむ貧困家庭の食事支援に加え、多世代交流や自習の場などの役割も担う「社会インフラ」になっていると指摘した。 調査は9~11月、都道府県庁や社会福祉協議会などに子ども食堂(以下、食堂)数などを聞き取った。 食堂数は調査開始の18年から4倍の9131カ所で、23年度文部科学省調査(速報値)の公立小学校・義務教育学校数(9296校)とほぼ並んだ。 全都道府県で増え、22年から計1768カ所増加。多い順に東京が初の1000カ所を超える1009、大阪757、兵庫521、神奈川484、埼玉409と人口の多い関東、関西圏が上位を占めた。増加率も過去最高の20%で、石川91%、岡山55%、徳島54%、富山46%、岩手44%などと地方が目立つ。 食堂が1カ所以上ある小学校区の割合を示す充足率は全国平均31%で、トップは沖縄の57%、鳥取55%、東京51%と半数以上の校区に開設されていることがわかった。割合が低い順は長崎13%、秋田15%、福井18%など。 食堂増加の要因として、4月のこども家庭庁創設に伴い国や自治体による「子どもの居場所づくり」へ関心が高まっていることや、5月のコロナ5類移行で「人と人とのつながりを取り戻す」動きが広がっていると分析。「これらの受け皿として食堂が期待されている」とし、近年は企業が運営するケースも増えていると指摘した。
日本農業新聞