空前絶後、もはや伝説! 「ホンダNR」の世界初“楕円ピストンエンジン”はなぜ誕生した?【今日は何の日?5月25日】
●レーシングマシンをベースにした市販車ホンダNR誕生
1992年のこの日、ホンダはレーシングマシンNR500をベースにした市販車NRを発売した。 排気量750ccのV4 DOHC楕円ピストンエンジンを搭載し、最高出力77ps/1,1500rpm、最大トルク5.4kgm/9000rpmを発生。同一排気量の従来エンジンと比べると、最高出力と最高出力回転は大きく上回り、幅広いパワーバンドと高速域で伸びのある出力特性が最大の特長だった。 スタイリングは、流麗かつ力強い面構成で、両サイドに空力特性の重要な要素となるフェアリングとボディカウルに、軽量・高剛性のCFRP(炭素繊維強化樹脂)を採用するとともに、ボディカラーには新開発の赤色・高彩度塗装を、またウインドウスクリーンには多層蒸着法によるチタン/シリコン・ハードコートが施された。 車両価格は、国内が520万円、海外向けが約800万円。当時の大卒初任給は18万円程度(現在は約23万円)なので、現在の価値では国内向けが664万円もする、非常に高価なバイクだった。 ・・・・・・・・ 楕円ピストンエンジンは、ホンダ伝統の先進性が成し遂げた超ユニークなエンジンだが、前代未聞、これからもおそらく出現しない空前絶後のエンジンであろう。モノづくりに対するこだわりや遊び心、余裕がない現在では、このような挑戦は難しいのではないだろうか。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純