前科は「セクシー田中さん」だけにあらず 調査書公開で分かった「日テレがヒットドラマを作れなくなった理由」
日テレお得意のジャニーズ起用や王道展開はもう通用しない 「直接話し合えば分かる」というズレた短絡思考
原作者の納得がいかない改変を繰り返す日テレ。そこには、原作者だけでなく視聴者のことも軽視しているおごりが感じられる。 ジャニーズが出れば見るでしょ? やっぱり恋愛展開も見たいよね? ヒロインはちょっとおバカでかわいい子が一番! そういう「王道」のタレントや展開でないと視聴者が離れると、勝手に思い込んでいやしないか。そして原作者の意に沿わない改変を得意満面で行って、結局視聴者からも信頼を失うことを繰り返してきたのではないか。原作の「セクシー田中さん」が、ありがちな展開やキャラ設定を避けていてもあれだけ魅力的だったのは、読者の「読み取る力」を信じていたからなのに。 それでも日テレは、どうしても「コミュニケーション不足」を原因にしたいらしい。今後は「原作者とも直接会う」ことが解決の一助になると考えているようだ。「現場で直接話し合えば分かる」という、これもまた悪しき現場主義の一つに見える。 日本シナリオ作家協会が発信した動画では、「私は原作者の方には会いたくない派」「対峙するのは原作であって、原作者の方は関係ない」と発言した脚本家もいた。そんなアウェーの場所に行き、あとで「難しい人」と背中から撃たれるようなまねをしたい作家がいるだろうか。 日テレは試しに、24時間テレビで「セクシー田中さん」調査の再現ドラマを作ってみてほしい。どれだけ空っぽで尺が足りなくなるか分かるだろう。きっとドラマ界に一石を投じるはずだ。 冨士海ネコ(ライター) デイリー新潮編集部
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