あめ細工のように曲がり転がった…ソウル市、命守れなかったガードレール改善へ
死亡者9人を含め16人の死傷者を出したソウル市庁駅近くでの逆走事故当時、歩行者用のガードレールが役に立たなかったという声が出ていることから市が対策に乗り出した。また、警察庁と高齢運転者免許適正検査強化案を協議し、高齢運転者免許返納活性化案などを話し合うことにした。 【写真】あめ細工のように曲がったガードレール ソウル市関係者は3日、「歩行者用ガードレール改善案を検討し始めた。ガードレールをさらに強固にして安全性を強化し歩行者を保護する方向で改善する計画」と話した。 呉世勲(オ・セフン)ソウル市長も2日、今回の事故で犠牲になった市庁庁舎運営チーム職員の葬儀で「事故現場に行ってみたらガードレールが大きく損傷していた。どの点を補完すれば不測の交通事故発生時に人命を最大限保護できるか点検する機会にしたい」と話した。 警察と消防によると、今回の事故車両はハンファビル裏の一方通行の道路である世宗大路(セジョンデロ)18キルを200メートルほど逆走してガードレールと歩道の通行人に突っ込んだ後、他の複数の車に追突した。事故現場で鉄製ガードレールは車の衝撃であめ細工のように曲がり転がっていた。 このガードレールに対し市関係者は「歩道と車道を区分して歩行者が道路を渡れないように防ぐための装置。今回の事故のように速いスピードで車が突進した時どうするかについては考慮せずに設計されたもの」と説明した。 事故が起きた道路の速度制限は時速30キロメートルで、国土交通部の指針に従いガードレールが設計されてはいるが、異例の100キロメートルで走る車を防ぐには力不足だということだ。ガードレールは設置地域により安全基準が異なり都心部の道路に高速道路と同じ基準を適用したりはしない。 ソウル市関係者は「都心で起きる交通事故から歩行者を保護するにはガードレールをどれだけ堅固にしなければならないのか、どのようにすればこうした事故を防げるのか考える段階」と説明した。ただ耐久性が強いガードレールを設置するとしても車が突進する場合、歩行者を保護するのは現実的に限界があるという指摘が出る。 ソウル市はまた、今回の事故を契機に65歳以上の高齢ドライバーに対する免許適性検査強化案を警察庁と協議する予定だ。人口高齢化もあり高齢ドライバーの交通事故発生が増え安全対策強化の必要性は提起され続けてきた。 道路交通公団によると、昨年65歳以上のドライバーが加害者となった交通事故は3万9614件で、3年連続で増加すると同時に統計集計後の最高値を記録した。全交通事故で占める割合も20.0%で1年前の17.6%より増えた。 合わせて高齢者の運転免許自主返納制度に対する改善案もまとめることにした。各自治体は運転免許を返納する高齢者に10万~30万ウォン相当の現金性インセンティブを支援し自主的な返納を誘導している。65歳以上の高齢ドライバーを対象にしているが、免許返納率は毎年2%前後にとどまっている。