仏教のおかげ?「すべるの怖くなくなった」笑い飯哲夫さんら公開授業
評論家の宮崎哲弥さん、お笑い芸人の笑い飯哲夫さん、浄土真宗の僧侶で相愛大学長の釈徹宗(しゃくてっしゅう)さんによる「三テツ人の仏教問答」と題する公開授業が11日、大阪市中央区の相愛大本町学舎であった。 【写真】右から釈徹宗さん、笑い飯哲夫さん、宮崎哲弥さん=2025年1月11日、大阪市中央区、大野博撮影 宮崎さんは政治や社会などの評論の一方で「仏教者」を自認し、「仏教論争―『縁起』から本質を問う」(ちくま新書)などの著書がある。昨秋には岡山県の高野山真言宗の若手僧侶らに招かれ、高野山の高僧とともに登壇するなど、様々な仏教宗派との対話を続けている。哲夫さんはFM大阪で僧侶らを招いて仏教談義を展開する「サタデー★ナイト仏教」という番組を持つ。2人は西本願寺系の相愛大の客員教授でもある。 この日の公開授業で釈さんは、明治初期の神仏分離・廃仏毀釈(きしゃく)と、近年のトレンドを見渡して「近代になって人工的に無理やり分けられた神道と仏教が、再びくっついてきている」と述べた。その例として、山岳信仰や密教の流れをくむ「修験道」が勃興してきていることや、長らく仏教が排除されてきた各地の神社の祭りで神仏習合的な色あいが復活しつつあることを挙げた。 これに関連して、宮崎さんは「廃仏毀釈で仏教が純化された面もある」と指摘。国学や神道によって排除された仏教の側がスリランカやチベットに学僧を次々に派遣。彼らが仏教の普遍性を裏づける思想を持ち帰り、それが近代仏教のいしずえとなった、と語った。 哲夫さんは聴衆からの質問に答えるなかで「漫才で人前ですべるのが怖くなくなったのは仏教の教えによるもの」と話した。「一人は皆のために、皆は一人のために」と説く仏典、華厳経を引用して「一人だけですべっているのではなく、ここにいるみんなですべっていると考えられるようになった」と自己流の解釈を披露し、笑いを誘った。(大野博)
朝日新聞社