玉木代表の不倫にネットがザワつく。Netflix大ヒット作のキャラとの“共通点”への指摘が相次いだワケ
“コンプラ完全無視男”である青柳
地面師たちを追う定年退職前の刑事・辰(リリー・フランキー)の捜査が平行して描かれるのだが、土地の売買契約でだまされる相手もいけすかない連中ばかり。第1話でだまされるのが、新興不動産会社マイクホームズの社長である真木(駿河太郎)。 地面師たちとは知らず、いい契約を結んだとぬか喜びする真木は、グラビア女優との派手な不倫が週刊誌にすっぱぬかれるような人物である。金がある男たちは、どいつもこいつもそんなやつらばかりなのか。いけすかない。 第2話からは冒頭で類似の人物として名前をあげた青柳が登場する。頓挫しかけている大規模事業の責任を追及されている。前時代的な価値観で“コンプラ完全無視男”である青柳は、昔付き合いのあった地上げ屋を頼るが、追い返される。路地からでてきた青柳が、彼の責任を追及する出世争いのライバル社員・須永(松尾諭)と出くわす場面がある。
大根監督の演出の恐ろしさ
社長派、会長派で派閥争いをするこの石洋ハウス社内で、会長派の須永は、社長派の青柳をとことん見下している。路地からひとりでてきた青柳に対して、須永は両手に華といわんばかり、華美な服装の女性ふたりと肩を組んで、我が物顔で闊歩する。 本作の時代は2017年に設定されているが、いつの時代もこういう男たちは、金にものをいわせた遊びしか頭にないのか。大根仁監督は、虚しさを思いきり感じるように、変にデフォルメすることも美化することなく、冷徹な視線を彼らに注いでいる。 目先の欲望の汁をすするだけの男たちに、深い軽蔑の眼差しを多くの視聴者が共有しているものと思いたい。でも人によっては彼らの生き方に憧れてしまうのかも。そこが大根監督の演出の恐ろしさでもある。 では、地面師たちにとっては100億超えの詐欺案件に、知らず知らず参加してしまっている青柳は、どうなるのか?
下半身事情はどうでもいい
とても印象的な場面がある。第4話、地面師たちへの提案をひかえた青柳のチームが夜遅くまで資料を作成する。彼が納得する資料ができ上がり、部下のひとりに1万円札を渡して、買えるだけのビールを買ってこいと命じる。 喜ぶ部下たちを横目に、青柳はある部分をいじる。カメラが机の下へ移動する。青柳が自分の股間をがっしりにぎっている。大型案件をまとめて挽回しようとするエネルギーが、下半身と連動するもんなんだなぁ、こういう人は。でもそんな下半身事情をいきなり見せられてもねぇ……。 街頭演説中のれいわ新選組代表・山本太郎氏は、玉木代表の不倫発覚について、「下半身問題で国民は死ぬことはないんですよ」と簡潔に述べた。政治家としての倫理観はもちろん看過できない。でも国民にとって野党党首の下半身事情はほんとうにどうでもいい。 大根監督がわざわざカメラをなめらかに移動させて写す青柳の下半身事情が、視聴者にとってどうでもいいことであるのとほとんどイコールなくらいどうでもいい。