<私の恩人>月亭方正 落語家転身は東野幸治さんの助言がきっかけ
そんな中、東野さんと話をしたんです。すると、すぐさま「落語見たらエエやん。桂枝雀さん、面白いから」と。それまで、落語はほとんど見たことがなかったんです。自分ら「ダウンタウン」世代というのは、ある意味、古いことをつぶすのが役割だった。今まであったものを壊して、新しいものを作ることに力を注いでいた。だから、古典そのものにグイッと入っていく発想がなかったんですけど、「同じ世代ながら、ものの見方が違う東野さんが言うなら、ま、見てみようか…」くらいの思いでDVDを借りに行ったんです。
枝雀さんの「高津の富」という噺(はなし)でした。驚きました。むちゃくちゃ面白い。そこで、道が決まりました。何気ない会話ですけど、東野さんの一言だったからこそ、道が開けたんだと思います。 バラエティーとかで、よく東野さんが「冷たい」だの言われるのは、昔からそういう人やったからやと思います。いきなりズバッと真理を言う。あいまいなクッションを作らずに、本当のことを一言で表す。20代の時は、それが年齢とかキャリアに伴ってなかったのか、人によったら冷たくも映った。でも、年を重ねてそれが合致してきた。僕が言うのは何ですけど、ここからの東野さんはさらにすごいことになると思います。 お釈迦様って、螺髪(らはつ)でしょ。くるくると髪の毛が丸まってる。東野さんも、普通の天然パーマじゃなくて、見たことないくらいにチリチリなんです。ま、もちろん、ホンマのところ、東野さんは単なるキツい”天パ”なんでしょうけど(笑)、僕には、ちょっと、神々しくも見えるんです。 (聞き手・文/中西正男) ■月亭方正(つきてい・ほうせい) 1968年2月15日生まれ。兵庫県西宮市出身。本名・旧芸名は山崎邦正。大阪NSC6期生。88年にデビューし、93年まではお笑いコンビ「TEAM-0」として活動。コンビ解散後はピン芸人として、「ガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ系)などに出演する。08年、月亭八方に入門。落語家として活動する時は月亭方正、タレントの時は山崎邦正という二足のわらじ状態を経て、13年1月1日からは芸名を月亭方正に一本化する。「よしもと落語 新世代四人衆」(2月4日、大阪・なんばグランド花月)、「月亭方正独演会in群馬」(2月13日、前橋国際交流広場)、「月亭方正独演会in新潟」(2月14日、古町演芸場)、2/16(日)月亭方正独演会in青森」(2月16日、わいん倶楽部)、「よしもと落語 新世代四人衆」(2月23日、東京・浅草花月)3/3「月亭方正 根多おろしの会」(3月3日、東京・草月ホール、ゲスト・立川志の輔)などに出演する。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年大阪府生まれ。大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。