中国戦で一発退場、西尾隆矢に駆け寄った“3人の選手”「みんなが温かく迎えてくれて…」TV中継には映らなかった“ロッカールームの真実”
試合後のロッカールームで西尾がチームメイトに語ったこと
ハーフタイムには守備の修正を確認しつつ、選手たちはそれぞれに西尾を思いやっていた。小久保は「ハーフタイムに彼(西尾)は別室にいてロッカーに来られなかったけど、彼のために戦うという気持ちはみんなの頭の中にあったと思う」と証言した。 ピッチを去った西尾は、試合終了までスタジアム内の別室で担当スタッフとともに過ごし、室内のモニターで日本の勝利を見届けた。試合終了後はロッカールームへ。全員の前に立ち、「本当にやってはいけない行動をしてしまった」と謝罪。「また一からサポートに回る。このチームの勝利のために少しでも力になれれば、できることがあれば」と話したという。 小久保は「試合後は彼が一人喋って、みんな、そこは気にせず、大丈夫だよと盛り上がった。サッカーではありえること。23人で戦うというのは監督も含めてみんなで言っている。自分たちは彼のために次の試合を戦って勝っていきたい」と、持ち前の明るさでチームの様子を描写した。 西尾の退場で戦術的交代を余儀なくされ、22分で退いた山本は、その瞬間は「ああ、オレかーー」と思ったと吐露したが、試合後は「まず考えたのは隆矢のメンタル」だったという。 「隆矢は試合後、真っ先に僕に謝ってきた。“仕方ない”と彼には伝えたし、チームとしては引きずっていない。たまたま隆矢だっただけで他の選手にもあり得ること。次に隆矢が闘える舞台を用意するために、僕らは勝ち続けなきゃいけない。隆矢が戻ってきた時に彼がチームを助けてくれると思っているので、みんな雰囲気よく迎えていた」
「みんなが温かく迎えてくれた」西尾は翌日練習に姿を現した
退場から一夜明け、取材に応じた西尾は「信頼を踏みにじるような形になってしまった」と誠実な言葉で反省を述べた。 「僕も映像を見返したし、当たってしまったのは事実。VARの見方の講習も受けていた中で、抗議や怒りはない。チームに迷惑をかけたということだけが、あの瞬間にあった」 中国戦から一夜明けた17日の練習には、中国戦で45分間以上プレーした選手を除く14人が参加した。第2戦のUAE戦の先発有力候補でもある彼らは、約80分の練習でこれまで以上に声が出ており、ミニゲームでは高い熱量を感じさせるプレーが見られた。 その中に西尾もいた。出場停止となる期間については未発表だが、西尾のケースに関しては最低3試合はベンチ入りが叶わず、出場が可能になるのは最短で準決勝と見られる。 「僕自身は引きずってはならない。みんなが温かく迎えてくれた。笑ってくれた。僕自身としては凄く悔しい。本当に情けない行動をしてしまって、たくさんの方の気持ちを裏切った。そこの信頼をまた勝ち取れるように、僕はもうプレーでしか証明できない。またしっかりチームのサポートをしながら、チームの勝利、優勝に目標を向けて、また一から頑張っていく」 中国戦で出番のなかった大畑が語った「10人でもああやって守り切ったことは、チームとして初戦から大きく成長できるところにもつながったと思う」という言葉は全員の気持ちだ。 カタールでパリ行きの切符を掴み取ろうとする23人が強固な一枚岩になった。
(「サッカー日本代表PRESS」矢内由美子 = 文)
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