巨人・西舘が新人最長タイ10戦連続ホールド「物欲がない」小学生から大学4年まで使っていた真っ赤なある物
◆JERA セ・リーグ 巨人3―2中日(25日・東京ドーム) 巨人が中日に逆転勝ち。3カードぶりの勝ち越しを決め、2位に浮上した。7回に2番手で登板したドラフト1位・西舘勇陽投手(22)は1イニングを3人で片付け、開幕から10試合連続無失点。新人タイ記録となる10試合連続ホールドをマークした。 【動画】西舘勇陽が新人史上初の開幕10試合連続ホールド * * * いつものように淡々と仕事をやってのけた。西舘はわずか9球で打者3人を抑え、顔色を変えずにベンチへ駆けた。3―2の7回に登板。代打・大島を右飛、岡林を空振り三振、田中を遊ゴロに打ち取った。開幕からの無失点を10試合に伸ばし、10試合連続ホールド(H)で12年の田島(中日)に並ぶ新人の連続最多H記録を樹立。同じく12年の高木京介が持つ球団の新人最多H記録にも並んだ。「内容の振り返りはしないといけないけど、そういう結果の振り返りはシーズンが終わってからすればいい」。快挙にも冷静だった。 新人らしからぬ投球を続けている。口下手で寡黙な性格だが、プロで成功をつかむため先輩たちに積極的に指導を仰ぎ、登板準備など試行錯誤。この日は6回の坂本の逆転3ランで急きょ肩を作った。「今日が一番慌ててました」と笑ったが「準備の段階で間に合わせて落ち着いてできているので」と堂々とマウンドに立った。「プロでは決めにいったボールでも粘られたりして難しさもあるんですけど、ゾーンで勝負はできている。そのスタイルを変える必要はないと思います」。確固たる自信が投球の支えになっている。 輝かしい成績とは対照的に謙虚で素朴な男だ。取材では「バックで守ってくれている人たちがいて、自分の力というより周りに助けてもらいながらやれている」と感謝の気持ちを忘れない。中大時代、試合で使っていたバッグはひときわ目立っていた。「物欲がないし、大きさもちょうどよくて」と小学時代から使っていたスキー用の赤いバッグで、ぼろぼろだった。「4年の最後の最後で肩の糸が切れてしまって…。結局、買い直したんですけどね」と照れくさそうに笑ったが物を大切に扱う右腕の人柄を示していた。入団後は、かばんやスーツケースを購入したが「貯金してばっかりで使わない。野球しかしてないですね(笑い)」と頭をかいた。ただ真っすぐに野球と向き合っている。 マシソン、山口という巨人史に残るセットアッパーが持つ12戦連続Hの球団記録も視界に捉えている。「目の前の一試合一試合でやってきて、結果に出ているのはよかった」。まだここは通過点。西舘は成長を止めるつもりはない。(水上 智恵)
報知新聞社