飲み水のPFASに米国初の規制、1億人を「永遠の化学物質」から守る新基準にのしかかる負担
その価値はあるのか
それでも多くの専門家は、PFASに関連する健康問題を示す「証拠の重み」を考えれば、新たな基準値は理にかなっていると主張する。 「これだけ低い濃度でも、長い年月の間には大きな影響を及ぼすことがあります。化学物質が体内で生物濃縮を起こすからです」と、米ノースカロライナ州立大学PFAS環境・健康影響センター所長のスコット・ベルチャー氏は言う。 PFASはそこら中に存在し、洗剤から食品包装、耐水性の布まで、あらゆるものに含まれている。ベルチャー氏によると、「長期的な汚染危機」を解消するための対策として、飲料水の浄化は取り組みやすく実現しやすい目標だという。 EPAが科学的証拠の重要性に基づいて規制をかけたPFASは6種類にとどまっているが、環境にはさらに何千種類ものPFASが存在している。新たなインフラが整備されれば、まだ禁止されていないPFASの多くも取り除かれると期待される。 将来的には、汚染源を事前に特定することを優先しなければならないと、ベルチャー氏は言う。「過去数十年間でわれわれが学んだのは、いったん環境内に入り込むと、これらの化学物質を取り除くのは非常に難しいということです」
文=Sara Novak/訳=北村京子