神聖さや厳格さは消え去ったのか? ゆるい空気支配するヒンドゥー教の行事
大通りの前の空き地を歩いていると、落ちていた毛布につまずいて転びそうになった。むくりと動いたその毛布に一瞬どきりとしたが、実は寝ている人だった。 クンブメラにやって来る多くは田舎からの貧しい人々だ。金を払って宿に泊まる余裕などないから、所構わず空いた場所に野宿することになる。とはいえ、この時はまだ2月だから、夜になればかなり冷え込む。頭から足まですっぽりと毛布をかぶり芋虫のようになっているので、中に人がいるとは分からなかった。
横たわる彼らの脇では、教祖たちの顔写真や宣伝文字を飾るネオンがギラギラと輝き、まるで遊園地かサーカスの装いである。宗教行事といって思い浮かべる神聖さや厳格さなどは全くないし、どこで寝ようが、飯を炊こうがおかまいなし。 もともとヒンドゥー教には神も多く多様性があり、色彩も派手でカラフル。 決まり事に関しても比較的寛容で 、イスラムやカトリックに比べると遥かにルーズな宗教ではある。実はこれが、なんでもありでテキトーなインドの国民性の根源なのかな、と思ったりもする。 2013年2月撮影