うだつの古民家、新たな観光拠点として再生…「地域経済の活性化につなげたい」
徳島県美馬市脇町の「うだつの町並み」(国重要伝統的建造物群保存地区)で、明治時代の古民家を改装した観光施設「市うだつ未来館」がオープンした。パンなどの軽食を販売し、コミュニティースペースも併設。市は「地域活性化に向けた拠点の一つになれば」と期待している。(大島渉) 【地図】徳島県
市は地元住民らと協議し、観光客が長時間滞在できる方策を検討。観光をしながら手軽に食べられるフードの充実などを目指し、1892年(明治25年)に建てられた市所有の古民家を活用することにした。
老朽化が著しく、市は2021年に改修工事に着手。瓦や柱など利用できる部材は残し、できるだけ当時の工法を採用した。今年3月に完成し、同7月には指定管理者を選定。調理に使う備品も含めた総事業費は、国からの補助金約4500万円を含めて約1億2000万円。
未来館は木造2階建て約130平方メートル。1階は地元パティシエがガラス張りの調理場でパンやドーナツをつくって販売するパン工房「あがるどーなつ/うだつぱん」が開店。チャレンジショップとして利用できるコーナーもあり、将来的に活用していく。吹き抜けの2階はギャラリーや会議、イベントなどで利用できる空間を設けた。
オープンした19日は、午前10時の開店から地元住民らが未来館を訪れ、パンなどを購入したり、建物の前で記念撮影したりした。市の担当者は「『通過型』から『滞在型』の観光を目指し、市内の他の施設を巡ってもらう拠点の一つとして地域経済の活性化につなげていきたい」と話していた。
未来館は午前10時~午後5時で、火、水曜定休。市は今後も、うだつの町並みに残る古民家を利用した地域づくりを進めていく方針。
◆うだつの町並み= 三好長慶が築いた脇城の城下町として成立し、藍の集散地として発展した。江戸中期~昭和初期の伝統的建造物85棟が並ぶ。町家の両端に、本瓦ぶきでしっくい塗りの袖壁「うだつ」が多くみられる特徴がある。