本当に5人目の野球賭博関与者は出ないのか?
久保博球団社長は、会見で「調査が十分に及ばなかった。膿を出し切れなかった」と反省のコメントを残しているが、どこまで本気で「膿を出しきろう」と努力をしたのかに疑念は残る。 野球賭博に関与した個人に問題があるのは、もっともだが、所属球団の管理責任は大きい。 巨人は、敏速に管理責任に対しての対社会的な処分を下し、その象徴としてナベツネが顧問を辞任したが、これもまったくの形式だけ。2004年に裏金騒動が起きたとき、ナベツネは責任をとってオーナー職を退いたが、その後、“清武の乱”が起きたときに明らかになったように、その後も、ナベツネは、巨人のトップ人事や、あらゆる決裁にかかわっていて、今後も巨人のイニシアティブをナベツネが握っていることになんら変わりがない。プロ野球ファンの間では「ナベツネが責任を取った」と勘違いしている人も多いだろうが、あくまでも表面上の責任である。 ファンの信頼を裏切りイメージはダウンした。「巨人のおかげでチケットの売り上げが減った」と他球団から損害賠償請求されても、おかしくないような事件を起こしていることを巨人は認識すべきである。 NPBは前回、巨人の管理責任を問い、1000万円の制裁金を科した。この金額が高いか安いかの議論もあるが、今回の告発を受けて、どういう処分を下すつもりだろうか。重要なのは、再発防止、野球賭博関与が生まれるような土壌を根絶するために巨人を含めて各球団が本気になるような働きかけだろう。巨人だけでなく、野球ファン、そしてプロ野球に携わるステークホルダー全員が、第5の野球賭博関与者が出ないことを祈っているのだが……。 プロ野球の未来のためにも、今回の事件をどうやって幕引きするかが、非常に重要になってくる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)