関鯨丸「お疲れさま」初の漁期終え下関帰港 計230頭1546トンの鯨肉生産 ナガスクジラ料理フェアも[山口県]
今シーズンから操業を開始した捕鯨母船「関鯨(かんげい)丸」が初めての漁期を終えて、約7カ月ぶりに母港である下関市の下関港に17日、帰ってきた。大型のナガスクジラを日本の商業捕鯨としては約半世紀ぶりに陸揚げするという関係者の期待に応えて戻ってきた新たな捕鯨母船。市内では同日からナガスクジラ料理を参加店舗で販売するフェアが始まったほか、21日には市民向けイベントが開かれる。 30年以上にわたって日本の捕鯨を支えた「日新丸」が老朽化のため昨シーズンで引退し、そのバトンを受け継いだ関鯨丸。国産の捕鯨母船としては73年ぶりに建造され、5月に下関市岬之町の埠頭(ふとう)から出港していた。北海道沖や東北沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内の太平洋側で捕鯨船と共に6回に分けて操業に当たり、ニタリクジラ175頭、イワシクジラ25頭、今年から捕鯨対象に追加されたナガスクジラ30頭を捕獲。計約1546トンの鯨肉を船内で生産した。 帰港地となった人工島・長州出島では、関鯨丸が岸壁に近づいてくると、運航する捕鯨会社、共同船舶(東京都)の所英樹社長らが「お疲れさま」などと声をかけながら出迎え。午前9時10分に接岸し、ナガスクジラとイワシクジラの冷凍鯨肉が入った冷凍設備付きコンテナを陸揚げする準備が行われた。18日までにコンテナ20基全てを船内から運び出して市内の企業の冷凍庫に届ける予定。県内のスーパーなどを中心に販売されるという。 所社長は取材に「大きなトラブルもなく、無事に母港に帰ることができてホッとしている。消費者の皆さんにクジラの魅力を伝えて市場拡大を図りたい」と語った。 スリップウエイ方式の揚鯨設備の傾斜角度を日新丸の時の35度から18度に緩やかにすることで70トン級の大型鯨種でも容易にウインチで船内に引き揚げられるようになるなど、ナガスクジラの捕獲を想定した構造となった関鯨丸。関鯨丸船団の恒川雅臣船団長(51)は「63トン近くの重さのナガスクジラも無事に揚鯨でき、乗組員の自信につながった」と話した。来季は来年4月に出港する予定。 17日から下関市内の飲食店や宿泊施設計25店舗でナガスクジラの冷凍赤肉を使った料理を出すフェアが開始。23日までだが、なくなり次第終了となる。21日午前10時~午後3時には同市あるかぽーとの市立水族館「海響館」横特設会場で「おかえり関鯨丸! くじら祭り2024」と名付けたイベントが開かれ、キッチンカーによる鯨肉メニューの販売などがある。