【山口県】[下松市]「被災地に積極的に職員派遣を」 輪島市支援の職員2人帰任
能登半島で行政支援に8日間
能登半島地震の被災地で行政を支援するため2月27日から8日間、下松市から石川県輪島市役所に派遣された職員2人が帰任し、13日に市役所で国井益雄市長ら市幹部に現地の活動を報告した。現地の被災状況が写真で報告され、発災から2カ月以上たった今でも爪跡の大きさが浮き彫りになっていることが紹介された。
「被災者職員」の負担軽減に貢献
この派遣は総務省の応急対策職員派遣制度によるもので、山口県は輪島市の支援を担当している。下松市からは税務課や土木課で勤務経験がある市教委生涯学習振興課社会教育係の小林洋之係長(42)▽建築関係の企業に11年間勤務した住宅建築課建築係の西山翔太朗さん(34)。輪島市では住宅被害認定調査業務を支援した。 2人は27日に金沢市に到着し、山口県団を構成する山口県庁職員6人▽柳井市職員2人との計10人と初顔合わせをした。28日から3月3日まで輪島市内に泊まりながら1日約60件の家屋被害認定調査に携わった。 輪島市職員は発災直後から1カ月はほぼ休みがなく、現在も週に1日は休むものの、午前零時近くまで残業している職員も多い。通常業務と災害対応が重なり、精神的に疲弊している職員が増えており、精神の不調で休む職員もいたという。 そんな中での行政支援は、自ら被災者であるケースが多い輪島市職員の負担軽減につながった。
輪島市職員の手づくり牛丼と汁物に感謝
宿泊は輪島市の「のと里山空港」の隣にある日本航空高の石川キャンパス内のテント。野球の屋内練習場内に張った大型テントで、外気が直接当たらないためテント内は寒くなく、不自由もなかったが、トイレは約200メートル~約700メートル離れた空港のトイレまで行くことを強いられた。半面、シャワーは完備されていた。 輪島市職員が手づくりで提供してくれた牛丼とけんちん汁には2人も感謝していた。小林さんは「食事はレトルト食品や缶詰が中心だったため、温かい牛丼と、汁物は本当にありがたく、うれしかった」と振り返った。 2人が被災地で撮影した写真も映写され、中には輪島市中心部のビルが根こそぎ倒れた様子や、家屋が複雑に壊れた様子もあった。 小林さんは「仕事の経験としても人生の経験としても、かなり貴重なものになった。下松市が被災した時のことも考え、災害があれば職員を積極的に派遣すべきだ」▽西山さんも「派遣先では飲食を共にするので県や他市の職員とのつながりが強くなる。災害時の職員派遣は災害業務のノウハウの蓄積だけでなく、職員交流のメリットもある」と話した。 国井市長は2人の現地での活動をねぎらい「貴重な経験を庁内全体で共有し、防災対策に生かしたい」と話していた。