豊洲市場PTが初会合 委員から「地下空間には誤解ある」発言も
THE PAGE
移転が延期された豊洲市場問題を検証する有識者による東京都の「市場問題プロジェクトチーム」(PT)が29日午後、初会合を開いた。
同PTは、元環境省で青山学院大学教授の小島敏郎氏が座長を務め、建築や環境、経営の専門家らが、豊洲市場の土壌汚染の安全性、施設自体の安全性や使い勝手、事業の採算性や継続性などについて検討する。 主要施設下が4.5メートル分の「地下空間」となっていることを受けて再招集された専門家会議では、主に盛り土がなされていないことによる安全性の検証を行なうが、この専門家会議とも連携を取って議論を進める。 この日は小島座長が、老朽化した築地市場が豊洲に移転が決まった経緯や、当初の4316億円から5884億円に膨らんだ土壌汚染対策費を含めた総事業費について説明。水産仲卸売場の床の一部で、コンクリートの厚さが構造計算書にある10ミリとは異なり、実際には150ミリとなっていることも指摘し、10月下旬に予定される第2回会合で、設計した日建設計から話を聞く意向を示した。 委員からは地下空間について、技術的な妥当性を認める発言も出た。 佐藤尚巳建築研究所の佐藤尚巳代表は、「大きな出費があると誤解がある」と切り出し、地下には排水管やガス管、電気管の配置が必要だが、豊洲市場の規模の施設だと「(高さ)2メートルじゃ足りない。3メートルになる寸法」と述べ、4.5メートルの地下空間は適切だったとした。 いったん盛り土をしてから掘り起こすとなると、1立米(りゅうべい)当たりの盛り土コストが1万円と仮定して約175億円かかることから、「技術的には、盛り土をしなかった都の技術者の判断は正しかった」との見解を述べた。また20年~25年後の設備更新時期にも、こうした巨大な空間があることで保守点検がしやすくなるとして、施設の長寿命化にもつながると強調した。いま問題となっている地下空間の水も、盛り土をしないことですぐ発見して調査できたとした。 これに対して、小島座長が、当初計画から変更するなら「役所内で議論が必要だった。ガバナンスの問題。議論せずにやったら規律違反だ」と述べ、行政手続的に問題があったとたしなめる場面もあった。