「成果次第で数千万円儲かる」台湾マフィアが日本の若者を騙してカンボジアで「かけ子」をさせていた!
台湾黒社会。常習的に犯罪を行う集団を、台湾ではそう呼ぶ。そのなかでも、「台湾三大黒社会」と称されるのが、『竹聯幇(ちくれんほう)』『四海幇(しかいほう)』『天道盟(てんどうめい)』の三つの台湾マフィアだ。昨年5月には『竹聯幇』が沖縄の指定暴力団『旭琉會(きょくりゅうかい)』と接触したと報じられ、日本への勢力の拡大が危惧されている。しかし、台湾マフィアの魔の手はすでに日本人へ及んでいた――。 【日本ではありえない!】台湾マフィア元幹部が堂々"政治家"としても活動 「張安楽」の素顔 「台湾マフィアはSNSを使って日本人の″かけ子″を集め、彼らを使った特殊詐欺で荒稼ぎしています。一見日本人の詐欺グループに見えますが、背後では台湾マフィアが糸を引いているんです」 こう語るのは、東海地方在住の男性A氏だ。A氏は30代後半。カネに困っていた時、SNSで「成果次第で数千万円儲かる」と募集されていた仕事に応募したことがきっかけで、台湾マフィアと関係を持つことになったという。 「応募後は日本人のリクルーターと面談をして、『発信元が特定されるから海外に行って欲しい』と言われ、その時この仕事に台湾マフィアが絡んでいると明かされたんです。去年の8月頃に片道切符でカンボジアへ行きました。期間は3ヵ月。プノンペン国際空港の指定された場所で待っていると、同じような日本人が複数人いたんです。そこからワゴン車に乗せられて2時間ほど走り、マフィアのアジトに連れて行かれた。私が入れられたのは一軒家でしたが、他にも工場のような場所や塀で仕切られた豪邸も彼らのテリトリーでした」 アジトに入るとA氏の前に30代後半と見られる組織の構成員が現れる。その構成員とは翻訳アプリでやりとりし、A氏はあの事件についても話をしたという。 「その構成員は、ルフィを名乗る人物らによる連続強盗事件も知っていました。『ルフィのように捕まるのはバカがやること。俺たちはそんなヘマをしない』と鼻で笑って、『俺たちはココで何をしても捕まらない』とまで豪語していた」 集められた日本人たちはパスポートとスマホを帰国まで没収。脱走を防ぐためか、アジトから外出をする際も構成員の同伴が義務付けられるなど、厳しい監視下で日々を過ごしていた。 ◆カモにされる日本人 A氏がアジトで共同生活を送った日本人グループは15名ほど。現地で用意された食材で自炊しながら、日々″仕事″に励んだ。 「自分が所属するグループが関与していたのは、日本人の氏名や電話番号が記載されたリストをもとに、『あなたの携帯電話が詐欺グループに使用されている』と警察官や検事を装って嘘の電話をかける劇場型の詐欺でした。メンバーと毎日一軒家にある部屋に集まり、マフィアから配付されたスマホを使ってひたすら電話をかけ続けていたんです」(同前) 海外を拠点にすることで摘発を逃れている台湾マフィア。なかでもカンボジアを拠点にしていることには理由がある。 「『竹聯幇』の初代領袖だった陳啓礼(ちんけいれい)は’90年代、台湾を追われるとポル・ポトに匿ってもらっていた。その際にカンボジアへのコネクションを築き、プノンペン近郊に強い影響力を残した。陳は’07年に亡くなりましたが、台湾で行われた葬儀には一般市民も訪れ、テレビ局の全チャネルがライブ中継をしたほどです」(マフィア事情に詳しいジャーナリスト) また、台湾マフィアは中国マフィアや日本の暴力団とは違う力を持っている。 「中国では共産党が絶対的な権力を握っているので、マフィアといえども政府に反旗を翻(ひるがえ)せない。しかし、台湾マフィアは政府の影響から無縁です。実際、『竹聯幇』の元幹部が台湾で政治家になっている。中国や日本ではありえない事態です。台湾マフィアは表からも裏からも国に影響を与える存在なのです」(同前) A氏は現在帰国しているが、当初約束されていた報酬はいまだ払われていない。台湾マフィアは日本人をカモにしながら、今後もビジネスを続けるだろう。 『FRIDAY』2024年2月23日号より
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