ドールは“愛”で変わる ちいさな世界に広がる、魅惑のドールワールドへようこそ
カバンから出した人形の髪を丁寧にとかし、手足や首の角度を細かく気遣いながらセッティングして撮影する人たち。今回はニッチなドールの世界をご案内。 【写真13枚】お気に入りのバーで撮影したドール。室内のテーマは遊郭。 漆黒の髪にレッドアイが特徴のドール・黒紅ちゃんのオーナー、まきばさん(X /Instagramのアカウント名:makimakimakiba)に話を聞いた。
きっかけはイラストのポーズの参考に購入したこと
「もともと趣味でイラストを描いていたのですが、ポーズに悩んでいたんです。そこでポーズの参考にするために人形を買ったのがドールとの出会いでした」 目的はイラストを描くためだったが、次第にその魅力に取り憑かれていく。 イラストの参考にするために写真を撮るが、衣装を変えたり角度を変えたりするたびにいろんな表情を見せることがわかり、どんどんドール沼にはまっていったという。 人形の顔は変わらないのに、衣装や背景、メイクによって異なる表情になるのは不思議。 「最初に買った子は腕や足の可動範囲に限界があり、もっと繊細な動きができる人形が欲しくなりました。情報収集はもっぱらツイッター(現在のX)。もっとこんな子がいいな、もっとこうだったらいいな、という欲が出てきて何体も購入して今の黒紅に至りました」 顔もサイズも質感も、種類によってまったく異なる。 「ドールの素材も顔もいろんなジャンルがあるんですよ。例えばうちの黒紅ちゃんはアニメ系の顔をしていますが、生身の人に近い顔をした人形もあります。また素材もフランス人形のような陶器製のビスクドールや柔らかい質感のキャストやソフトビニールなどさまざま。サイズも40センチ~60センチと幅広いんですよ」 実際、ドールオーナー仲間を見渡してもサイズはいろいろ。80サイズや90サイズの子ども服が合う大きめのドールもいれば、片手で持てるドールもいる。
自分の理想を作れるのがドールの魅力
ドールは頭と胴体部分を取り外すことができ、頭部は眼球を変えられるように上部が開くようになっている。これによって、目の色を自在に変えられるのだ。 「ドールの醍醐味は、自分の理想のドールを作れることだと思います。私はドラゴンが好きなのとファンタジー感のある雰囲気が好きなので、ツノや尻尾をつけながら、現実の世界にはいないかわいさをドールに求めてカスタムしています」 また、衣装はハンドメイド作家にオーダーしたり、撮影に使う小物は自分でも作ったりしているという。まきばさんのドールの黒紅ちゃんはその名のとおり、漆黒と紅色にこだわっているので、衣装や小物も厳選。撮影の際には、世界観を表現するための演出も欠かさない。 「100均のものなどを使って、小物を製作してます。臨場感のある小物を持たせるとリアリティがあって楽しいですね」とまきばさん。撮影当日も自作した人形用のクッキーを仲間にプレゼントしていた。