【磐田】後半戦で、より高みへ。内外に熱量を示したヴェルディ戦の勝利。“最低目標”勝点40を超えていく戦いに挑む
「悔しさを忘れずにピッチで表現してくれた」
これで磐田は20試合を終えて勝点23となり、勝点40ペースを少し上回る形となった。ヴェルディ戦の勝利の意味を横内監督に聞くと「前回対戦したアウェーのヴェルディ戦に負けたのは本当に悔しかった。J2で切磋琢磨しながら一緒に上がったチームで、去年も勝つことができずに、前回もそこに手が届かなかった。本当に悔しい思いをした。それは僕だけじゃなくて、選手もそう思っていましたし、その悔しさを忘れずに選手たちはピッチで表現してくれた」と答えた。 そうした気持ちという部分は、一つひとつのデュエルやセカンドボールの奪い合いでも感じられたが、チームのベースとしても守備の連動や攻撃のイメージ共有、コンパクトな関係を90分、維持する意識、そして交代選手の躍動と、前半戦からの確かな成長を示す試合でもあった。 もちろんヴェルディ側からすれば、城福浩監督が「軽かったの一言ですね。前線の追いも甘いですし、誰かが三度くらい追いかけて全員を鼓舞するような走りをしたか。誰かが頭を投げ出したり、身体を張るようなプレーをしたか。僕には感じられませんでした。今年最低の試合をしたと思っています」と話すように、また別の見方があるだろう。 磐田としては、ここからの18試合の内容と結果で、さらなる成長を証明していくしかない。先述の通り、横内監督は勝点の最低目標を40に設定している。一部で誤解される報道もあったが、あくまで最低目標であり、そこにいち早く到達して、1つでも上の勝点、順位を目ざしていくことが、ここからの戦いになってくる。最低目標は設定するが、上限を設定していないのは、ある種の横内監督らしさかもしれない。 ここから前向きに上を目ざすんだという雰囲気が、チーム内だけではなく、サポーターを含めた外側にも熱量を示していけるヴェルディ戦の勝利だった。そのことを横内監督に伝えると「そういうふうに捉えられるゲームの内容というか、試合だったというのは、ヴェルディ戦は、我々が思ってる以上に、観ている人にそう感じてもらえるゲームがすごく大事だと僕は思ってます」と答えてくれた。 「そういうふうに思ってくれる人が一人でも多くいてくれるゲームを、我々は続けていかなきゃ行けない。それで自分たちの目標であるところに近づいて行くかなと思ってます。我々チャレンジャーではありますが、J1で1つでも上の順位、我々の上にいる順位のところに入れ替わっていける、そういう戦いをしていきたい。もちろん下を見るのではなく、常にそういうところを見ながらプレーし続け、戦い続けたいと思います」 もちろん、この勝利で残留が約束されたわけではないが、より上を見て、高みを目ざしていく戦いへ。6月30日、埼玉スタジアムに乗り込む浦和との一戦で、磐田がどういったパフォーマンスを見せるのか。飽くなきチャレンジャーの挑戦は続く。 取材・文●河治良幸