“kg単位”で体重減ることも…過酷な将棋のタイトル戦 対局中の消費カロリーは動かずとも「早歩き」に匹敵か
将棋の藤井聡太八冠は、4月から毎週タイトル戦が続いていて、全国を飛び回っている。各タイトル戦の前日は、対局地で前夜祭などもあり、かなりハードなスケジュールだ。 【画像】第48期王座戦七番勝負 2007年 体の動きの少ない「将棋」だが、頭を使うため多くのエネルギーを消費するという。プロ棋士や専門家にどれほどの消費があるのか聞いた。
■1日にキロ単位で体重減…プロ棋士が明かす過酷なタイトル戦
深浦康市九段(ふかうら・こういち 52)は、35歳で王位を獲得するなど、タイトル戦で3回勝っている名棋士だ。 深浦九段にタイトル戦での疲労度について聞いた。 深浦康市九段: 自分は(タイトル戦の)1日制、2日制両方出たことあるんですけども、1日制で1キロ、2日制で2キロ落ちる感じですかね 深浦九段は1日や2日の対局の間に、キロ単位で体重が減るという。 深浦康市九段: やっぱり頭がフル回転しています。考慮中でも小刻みに体が動いていますので、意外とカロリーは消費していると思いますね 例えば叡王戦は持ち時間が、予選が1時間、本選トーナメントが3時間と勝ち上がると伸びていく。 タイトル戦では4時間にもなる。お互いが持ち時間を全て使えばおよそ8時間、集中し続けなければならない。
■対局で重要な食事やおやつ…レジェンド・羽生九段は驚きの行動も
このため厳しい対局では、昼食やおやつといった食事がとても重要だ。 深浦康市九段: 旅館やホテルにもう缶詰状態で、食事で「この場所に来たな」「旅をしている」っていう感じが出てきてリフレッシュにもなります ただ、食後に眠くなるようなことはないのか。 深浦康市九段: 一瞬一瞬が勝負ですから、決して眠くなることはないですね。ただ、記録係が隣にいるんですけど、対局者ほど真剣味がないですから、対局始まった2時間ぐらいからうつらうつら船を漕ぐ人はいたりしますね 深浦九段は2007年、王座戦で羽生善治九段と対局した際、食事について驚いたことがあるという。 深浦康市九段: 3時のおやつにアイスクリームが出ても、羽生さんが一向に召し上がらないんですね。徐々に溶けていくわけですよ。1時間、1時間半経った後に、羽生さんが溶けたバニラアイスクリームの液体を「ズズズッ」っと飲み始めまして「なんだこの人は…こういうやり方があるのか」と。ちょっとこの勝負負けたかなと思いましたね 羽生九段の、気迫に満ちた立ち居振る舞いに圧倒され、敗れたという。 そして、タイトル戦に連続して臨む藤井八冠について、深浦九段は…。 深浦康市九段: 20数回、タイトル戦に出られていますので、ご自分のペースを掴んでいらっしゃるのかなと思います