塚原あゆ子×野木亜紀子のゴールデンコンビ再び 『ラストマイル』が細部まで見逃せない理由
満島ひかりが主演を務め、岡田将生が共演するオリジナル映画『ラストマイル』が2024年夏に公開されることが発表された。 【写真】『下剋上球児』主演の鈴木亮平 本作で監督を務めるのは、TBS系で放送されたドラマ『アンナチュラルや『MIU404』、『最愛』などのほか、現在放送中の『下剋上球児』(TBS系)でも演出を担当している塚原あゆ子。塚原監督の映画監督作は『コーヒーが冷めないうちに』(2018年)、『わたしの幸せな結婚』(2023年)に続き、3作目となる。脚本は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や映画『罪の声』(2020年)、『カラオケ行こ!』(2024年)などを手がけてきた野木亜紀子が担当する。野木と塚原監督は社会現象を引き起こすまでの大人気作品となった、『アンナチュラル』や『MIU404』などでタッグを組んだ、いわばゴールデンコンビだ。 本作は、その『アンナチュラル』や『MIU404』の世界線と交差するサスペンスエンターテインメントとなっている。今や、流通業界最大のイベントのひとつとなった「ブラックフライデー」の前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展していく。 塚原監督×野木脚本の作品は、毎回スピーディな展開ながら、物語の構成が巧みである。回を追うごとにいつの間にか張られていた無駄のない伏線に気付かされ、それらが華麗かつ一気に回収されていくのがとても気持ちいい。そんなスッキリするところもありながら、登場人物一人ひとりにスポットライトを当て、時には誰にも知られずにやり過ごしてしまいたいような繊細な心の動きまでもを見事に表現し、静かに寄り添っていく。1話の中で興奮と感動が何度も押し寄せ、毎回のように涙してしまうのだ。そんな作品を生み出す2人が、今回は映画で私たちを楽しませてくれるというのだから、すでに期待しかない。 しかも、舞台は『アンナチュラル』や『MIU404』と同じ世界線。この2作品はすでに“コラボ”しており、『アンナチュラル』の舞台であるUDIラボの所長・神倉(松重豊)やそこに務める臨床検査技師の坂本(飯尾和樹)のようなメインメンバーだけではなく、度々登場していた西武蔵野署の毛利刑事(大倉孝二)と向島刑事(吉田ウーロン太)のような癖が強いが愛せるキャラクターたちが『MIU404』に登場している。本作では、連続爆破事件が起こるため、おそらく警察もUDIラボも事件解決のために奔走しているだろう。もしかしたらドラマの“コラボ”のように、どこかで『アンナチュラル』や『MIU404』で活躍したキャラクターたちが登場するかもしれない。 『MIU404』では、井浦新演じる中堂が声だけ出演したり、ある資料に書かれていた執刀医欄にUDIラボのミコト(石原さとみ)の名前があったりと、細かいところにまでこだわっていた。本作も細部まで見逃せないものとなりそうだ。 満島が演じるのは、事件の舞台となるショッピングサイトの関東センター長・エレナ。そのエレナに振り回されながらも事件解決に奔走する同センターのチームマネージャー・梨本孔を、岡田が演じる。2人の共演は『悪人』(2010年)以来14年ぶりで、塚原監督作品への出演は2人とも本作が初となる。どちらも「塚原あゆ子組に参加してみたいという前のめりな気持ちが勝り参加しました」(満島)、「念願のチームに参加させて頂きました。どんな役でも参加したいと熱望していたのがようやく叶いました」(岡田)と、出演することをとても楽しみにしていたことを感じさせるコメントを寄せている。 怒涛の展開が予想される本作で、バディのような、でも普通の会社員でもある2人が事件にどのように向き合っていくのか。
久保田ひかる