ヴィーガン事業を起業した25歳は、なぜ“知識経験なし”でも挑戦できたのか
経験もお金も、人脈もない。「挑戦するにはまだ自分は若すぎる」と、年齢を理由に現状から一歩踏み出せない20代は少なくありません。 「知識も経験もなかった」ヴィーガン事業で起業した25歳の挑戦 では若くしてやりたいことに挑戦している人は、目の前に立ちはだかる壁をどう乗り越え、“若さの呪い”にかかることなくチャレンジを続けているのでしょうか。 そこで今回は、高校3年生で動物性食品を食べない「ヴィーガン」というライフスタイルを始め、大学時代にヴィーガンの課題を解決すべく起業した株式会社ブイクック代表取締役CEOの工藤柊さんにインタビュー。 「失うものがないから、先陣を切って走れた」と爽やかに微笑む工藤さんは、なぜ20代にして周囲を巻き込み、大きな挑戦に挑むことができたのでしょうか。
---------- 工藤柊 株式会社ブイクック 代表取締役 1999年大阪生まれ。高校3年生で環境問題・動物倫理への問題意識からヴィーガン生活を開始。神戸大学国際人間科学部環境共生学科に入学後、学食へのヴィーガンメニュー導入、ヴィーガンカフェThallo店長などの活動を経て、NPO法人日本ヴィーガンコミュニティを設立。2020年に株式会社ブイクックを創業。2023年1月にプレシリーズAラウンドにて、1.1億円の資金調達を実施。 ----------
高校3年生からヴィーガンを実践。きっかけは「不条理へのモヤモヤ」
──工藤さんご自身もヴィーガンというライフスタイルを実践されていますよね。何が契機になったのでしょうか。 工藤:きっかけは、高校3年生の頃にさかのぼります。 学校帰り、車にひかれた猫を見つけて、人間が作った乗り物によって動物が犠牲となっていることに大きなショックを受けました。帰宅して動物のことを調べると、交通事故だけではなく、保健所の殺処分や畜産など、人間の都合でおびただしい数の生き物が命を奪われていると知ったのです。 もともと私は環境問題に興味があり、「先進国の活動が途上国への環境負担となる」という不条理さにモヤモヤを感じていました。動物に対しても同じで、家畜動物や殺処分される動物への不条理が、どうにも受け入れることができなくって。 以前からモヤモヤと感じていたそんな思いが一気に噴き上がってきて、自分に何かできないだろうかと考えた末に「ヴィーガンを実践しよう」と決意したという経緯があります。 その翌日から家族に協力してもらい、肉や魚、牛乳や卵などを食べないヴィーガンの食生活を始めました。