IMF、バイデン政権の対中関税引き上げを批判-世界経済に悪影響
(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は、バイデン政権が一部の中国製品に対し大幅な関税引き上げを決めたことを批判した。2大経済大国間の緊張が高まることで世界の貿易と成長に悪影響が及ぶ恐れがあると強調した。
IMFのコザック報道官は16日、ワシントンでの記者会見で対中関税の引き上げに対する質問に対し、「米国の経済パフォーマンスに不可欠な開かれた貿易政策を維持することが米国にとってより有益であろうというのがわれわれの見方だ」と述べた。
IMFのゲオルギエワ専務理事は先月、「全ての目が米国に注がれている」と指摘。IMFは、最大の出資国である米国の政策が世界に与える影響を巡り、批判の声を強めている。それには、米政府債務残高の急増や中国を対象とした貿易規制と産業政策のほか、対ドルで世界的な通貨安をもたらした米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め政策の影響などが含まれる。
バイデン大統領は14日、電気自動車(EV)など中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げると発表。11月の米大統領選での再選を目指し、重要産業で国内製造業の強化を図ることが狙いだ。
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IMFの調査研究によると、世界経済の分断はさまざまな結果をもたらす可能性があり、「深刻な分断」による損失は世界の国内総生産(GDP)の最大7%と、ドイツと日本の経済を合わせた規模に相当する可能性があるという。
コザック氏は、貿易や技術の利用可能範囲を巡り分断が生じれば、コストはさらに増える可能性があると指摘。「米国と中国が貿易摩擦を悪化させている根本的な懸念に対処する解決策に向けて協力するよう」促すとし、「全ての国々が多国間の枠組みの中でそれぞれの相違の解消に向け取り組むことを求める」と述べた。
原題:IMF Knocks Biden’s China Tariffs as Risk to US, World Growth (1)(抜粋)