宮崎駿作品と「ゴジラ-1.0」アメリカZ世代にどう映ったのか? アカデミー賞の行方は?
Cartoonがパーソナリティを務めるinterfmで放送中のラジオ番組「sensor」(毎週金曜19:00-22:00放送)。番組コーナー「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。 今回のテーマは、「宮崎映画とゴジラ、NYのZ世代はどう見た?」。「NY Future Lab」のメンバーが、2023年に世界中で大ヒットした日本映画「君たちはどう生きるか」と「ゴジラ-1.0」に注目しました。
◆10年ぶりの宮崎駿監督映画の感想は?
1月は2024年を予想するトピックを中心にお送りしてきた「NY Future Lab」ですが、今回は2023年にヒットした日本映画2作に注目します。まずは「君たちはどう生きるか」から。 スタジオジブリの10年ぶりとなる宮崎駿作品「君たちはどう生きるか」は2023年公開時、北米の興行成績トップに輝くという快挙を成し遂げました。ゴールデン・グローブ賞では最優秀アニメ映画賞に輝き、3月に発表されるアカデミー賞でも長編アニメーション賞部門にノミネートされています。 ラボのZ世代は「君たちはどう生きるか」を観て何を感じたのでしょうか? 感想を聞きました。 メアリー:Instagramを見てると、ストーリーとストーリーの間に広告が挟まれることがあるよね。その広告が全部、この映画の宣伝だった。だから「観てみようかな。10年ぶりの宮崎アニメだし」と思った。ヒカルと一緒にIMAXでの初回上映を観たんだけどとても綺麗で、色使いもすごく素敵だった。でも、物語のなかで何が起こっているのかを本当に理解するには、何度も観ないと理解できない気がしたんだよね。 ノエ:まあまあよかったと思うな。ただ、良し悪しを言う前に、最低でも2、3回は観る必要があると思うよ。はっきり言うと、これは彼のクラシック作品、たとえば「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」には遠く及ばないと思った。だけど、視覚的には本当に美しくて、特に火事がある冒頭のシーンなどは、ありえないくらいうまくアニメーション化されていて、スタイリッシュで本当に美しかった。ストーリーは少しわかりにくいかな。あきらかな意味を込めているのはわかるけど、十分には理解できなかった。 僕が理解できないのは、なぜ英語のタイトルが「The Boy and the Heron(少年とアオサギ)」になったかだよ。なぜって、サギはそんなに重要ではないからね。日本のオリジナルタイトルのほうがずっとかっこいいのに。 ケンジュ:アオサギって何? メアリー:鳥だよ、鶴みたいなやつ。日本の元のタイトルは何だっけ。「君がどうやって住んでる」みたいな? ノエ:「君たちはどう生きるか」だよ。だって、どうやって生きるかを決める、ということだから。もとのタイトルのほうがもっと意味があるし、それを英語にして「How, will you decide to live」のほうがシンプルにいい響きだと思うけどね。 メアリー:アメリカではタイトルに主人公の名前とかを入れたがる傾向があるよね。 ノエ:でも、アオサギは主人公じゃないでしょう? メアリー:そうだけど、Boy、少年が主役ってことよ。 ラボメンバー3人が公開直後に「君たちはどう生きるか」を観に行きました。宮崎駿監督作品は2013年の「風立ちぬ」以来、10年ぶりということもあり、ジブリアニメへの期待は大きいようです。 ノエの「過去の宮崎作品には及ばない」という感想は印象的でしたが、実際アメリカではどのジブリ映画が人気なのでしょうか? 映画評論サイト「Rotten Tomatoes」のランキングによると、ジブリ作品のベスト3は以下になります。 1位:かぐや姫の物語(高畑勲監督) 2位:おもひでぽろぽろ(高畑勲監督) 3位:魔女の宅急便(宮崎駿監督) 話題の「君たちはどう生きるか」は6位。サイトのコメントでは、「批評家の得点は非常に高く、美しいアニメーションのレンズを通して示唆に富んだテーマを探求している。宮崎駿の新たな傑作である」と絶賛する声が寄せられています。 一方、日本のランキングでは海外とは異なる作品が上位に。 1位:千と千尋の神隠し(宮崎駿監督) 2位:天空の城ラピュタ(宮崎駿監督) 3位:魔女の宅急便(宮崎駿監督) Z世代評論家のシェリーは「みんなであれが好き、これが好きと話せるのはジブリ作品のすごいところですね」とコメントしました。