今関心の高い話題を詳しく解説する「急上昇ニュース」です。今回は「変わる入試問題の今」を取り上げます。担当は堀さんです。 （報告　堀靖英） この春も、多くの中学生が高校入試に挑みます。入試の問題は時代とともに変わっています。今と昔の入試問題を比較しながら、『今の子供たちにどんな学力が求められているのか』考えます。 喜びが爆発する春。２０２３年３月、岡山県立高校の合格発表の風景です。 岡山県では２０２４年春、１万６９０８人が中学校を卒業見込みで、実に９９％（１万６７５６人）が進学を希望しています。多くの中学３年生が受験する県立高校の入試問題は、県内統一です。一体どんな基準で作られているのでしょうか？ （岡山県教委高校教育課　山磨道総括副参事） 「平均点は大体６０点。難しすぎてもダメだし、簡単すぎてもダメ。中学校でやったことがきちっと測れるような問題を作成している」 平均点６０点を目指して作られるという試験問題。最近は、『自分で考える力を問う傾向がある』と、学習塾、能開センターの八田さんはいいます。 （能開センター岡山校責任者　八田宜弘さん） 「社会が一番わかりやすいと思うんですけど、一問一答の詰め込みで何とか出来た科目だったが、記述で書いていくものが増えてきている」 例えば、２０２３年の社会では『１９００年から２５年の国鉄と民鉄の貨物輸送の推移から、当時の経済状況を問う』問題が出されました。 （能開センター岡山校責任者　八田宜弘さん） 「こんなの（中学校で）勉強しないんですよ。民鉄という言葉自体子供たちは知らない。当時の情勢を見て、自分で判断をして書かないといけない所に難しさがある」 県立高校の入試が今の形になったのは１９５５年（昭和３０年）の春、学区制が導入された年でした。当時の中学校卒業見込み３万６０００人のうち、出願者したのは５５％の２万人で今よりかなり割合が低いことがわかります。 当時の教科には図工や音楽もあり、選択科目の英語を入れると９教科の試験を一日で行いました。音楽の問題を見てみると、どの国のどんな音階の曲か、楽譜を見て答える問題などがありました。 入試科目は１９７９年に現在の５教科となりました。時代とともに問題も変化しています。約７０年経った２０２３年の国語の問題では、著作権の問題が出されました。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 次のうち著作物として適当でないものは？ ・友達が書いたイラスト ・日本の総面積のデータ ・環境問題についてのレポート ・授業で作った楽曲のうちどれ？ ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 正解は日本の総面積のデータです。中学校で著作権については学びませんが、問題文をよく読めば答えられます。 （能開センター岡山校責任者　八田宜弘さん） 「ちゃんと著作権について（説明が）書いてあるのでこれをしっかり読み取って判断しないといけない」 入試問題は長らく、すべての県立高校で同じでしたが、１９９９年、一定の学力を持つ生徒を均等に振り分ける「総合選抜制度」が廃止されると、いくつかの高校が独自問題を導入しました。今は岡山朝日高校だけが、英語・数学・国語で独自問題を使っています。 （能開センター岡山校責任者　八田宜弘さん） 「これが朝日の回答用紙です。まずマス目がない。字数も自分で考えないといけない。難しいので合格点は一般入試よりもかなり低くなる。そうすると点数の幅が広がる。朝日で一般入試を使うと皆さん高得点で差がつきにくい。差をつけるため」 ２０２４年も、喜びの春を目指して多くの中学生が県立高校入試に出願しました。『入試に求められる学力とは、これからの人生に必要なものでもある』と、県教委の山磨さんは言います。 （岡山県教委高校教育課　山磨道総括副参事） 「ここから先（の人生）正解のある問題ばかりじゃない。一問一答式で答えられるもんじゃない。単純に知識を問う問題だけじゃなく、その知識を使ってどう考えるか？どう判断して、どう表現するか？を深く問う傾向がある」 ２０２３年の岡山県立高校の平均競争倍率は１．１２倍。各高校が魅力づくりに力を入れていて、入りたい高校に入るためには、受験を乗り越えなくてはいけません。入試問題を見ていくと、時代によって『これからの日本がどんな人材を育てようとしているか』も見えてきました。 以上、急上昇ニュースでした。