大牟田市の高校の「定時制」が75年の歴史に幕 不登校だった最後の卒業生「やってみることが生き方を変えると知った」福岡
FBS福岡放送
福岡県内の多くの高校で卒業式が行われた3月1日、大牟田市の高校の定時制が75年の歴史に幕を下ろしました。学校では不登校や家庭の事情など、さまざまな背景を抱える生徒を受け止めてきました。最後の卒業生の思いに迫ります。
■ありあけ新世高校・校長 「卒業生の諸君は定時制課程16期生最後の卒業生として、きょう、この日を迎えています。」 先週金曜日、大牟田市の県立ありあけ新世高校で定時制の閉課程式が行われました。生徒数の減少などもあり、前身の大牟田南高校を含め、75年の歴史にこの日、幕を下ろしました。
角 知拓(ともひろ)さん(19)は最後の卒業生11人のうちの1人です。角さんにとって、ここは初めてできた、かけがえのない居場所でした。 角さんが定時制に通うきっかけは、小学1年生から始まった不登校でした。 ■卒業生・角 知宏さん(19) 「正義感が元から強くて、学校のみんなが騒がしいのを『静かにして』という側だったのですが、それに対して『おまえがうるさいやん』と。」
友達とのささいなすれ違いをきっかけに、中学生まで家に引きこもりがちの状態で過ごしました。そんな息子の姿に、家族はもどかしさが募ったといいます。 ■母・ひろみさん 「不登校の時代は家の中で引きこもってゲームをしたり、 自暴自棄になっていた時期が多かった。ごく当たり前にできている学校生活というのができていない。うう…とそれだけでなる。」
今の自分を変えたい。そんな思いで選んだのが定時制でした。授業が夜間だけで、昼夜逆転した生活でも通いやすいと思ったのが理由です。 全日制に比べて1年長い4年間をともに過ごすことで、クラスメートとの絆は深まりました。 人とのコミュニケーションにも苦手意識がなくなり、日中はゴルフ場でのアルバイトも始めました。 自由な校則や個性を認めてくれる友人の存在もあり、4年間、学校を1日も休みませんでした。 ■角さん 「周りの友達、家族、先生、バイト先の方にも助けていただいた。」