内野聖陽の台本は付箋と書き込みでいっぱい!『アングリースクワッド』内野の情熱的な姿勢に、上田慎一郎監督が感謝の涙
『カメラを止めるな!』(17)の上田慎一郎監督による映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』の初日舞台挨拶が11月22日に丸の内ピカデリーで行われ、内野聖陽、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈、真矢ミキ、小澤征悦、上田監督が出席した。 【写真を見る】森川葵、ミニスカートの冬コーデを披露! 上田監督が「カメ止め」の公開前から準備を進めていたプロジェクトとなる本作。韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」を原作に、上田監督がオリジナリティを加えて映画化。税務署に務めるマジメな公務員(内野)がひょんなことから天才詐欺師(岡田将生)と手を組み、詐欺師集団“アングリースクワッド”とともに壮大な税金徴収ミッションに挑む姿を描く。「ようやくこの日を迎えました」と切りだした内野は、「長い道のりをかけてここまで来ました」としみじみ。上田監督も「6年間、大事に大事に育ててきて。ずっとこの日、この場所を目指してつくってきました。この光景を見られて感無量です」と満席の会場を見渡し、大きな拍手を浴びていた。 脚本づくりから本作に参加したという内野は、「シナリオの打ち合わせを10回以上やって。14稿、重ねた。普通はそんなに重ねることはない。僕は初めての14稿です」と笑顔。「途中で何度も投げ出したくなった」というが、常に上田監督の熱意に背中を押されたそうで「それくらい彼の熱意がすごい」と振り返った。 熱意に励まされていたのは、上田監督も同じだ。「毎回、内野さんはたっぷりと付箋を貼った台本を持ってきてくださって。『頭から行こうか』から始まって。その付箋が全部、取れるまで打ち合わせが終わらない」と毎回、台本をとことん読み込んで打ち合わせに臨んでくれたという。 内野が演じるマジメな公務員の部下、さくらを演じた川栄も「内野さんの台本には全ページというくらい付箋が貼ってあって、分厚くなっていた。チラ見したら、余白にびっしりと書き込んであった。書いては消して、という跡があった」と証言。「一緒にいて学ばせていただいた」と刺激をたっぷり受けた様子だ。内野は「そもそもは韓国のドラマで、16話ある。それを一つにまとめることになるので、最初のころは台本を読んでもよくわからなかった。そこから削いだり、加えたりしながら、監督が自分のものにしていった。とにかく大変だったんですよね」と脚本づくりや撮影を通して切磋琢磨した上田監督を労い、「これでもかというくらい打ち合わせを重ねて、とにかくおもしろい映画をつくるんだというその一心だった」と力強く語っていた。 撮影現場も、みんなでアイデアを出し合いながら進んでいったという。内野は「真矢さんは『ワークショップみたいだね』とおっしゃっていましたが、それくらい新鮮な現場で、みんなでアイデアを出し合った。手作り感の強い現場だった」とディスカッションの多い現場を振り返りながら、完成作を観て「『さすがだな!上田監督』というところもあった」とにっこり。最後の挨拶をすることになると、上田監督は「内野さんとは、3年くらい前から何回も何回も脚本づくり、リハーサルを重ねさせていただいた」とこれまでの道のりに思いを馳せて、瞳を潤ませた。「クランクイン前日に、内野さんから電話がかかってきた。それまでメガネの設定はなかった。『いまメガネ屋にいるんだ。このメガネとならやれそうなんだ』と言っていた。カチンコが鳴る瞬間ギリギリまで、もっとおもしろくできないかと思いながらやってくださった。ずっと長い間、一緒にやってくれた内野さん改めてありがとうを言いたいなと思います」と声を震わせながら、感謝を述べた。 「非常に情熱的な方なので、すぐ涙しちゃう」と目尻を下げた内野は、「彼の不撓不屈の精神。ものすごい情熱から生まれた映画」とキッパリ。上田監督は「とにかく楽しませてやろうと思ってつくった作品です。フィクションが、現実を生きるエネルギーのなればうれしい」と願いを込めると、2人の熱い関係性を目の当たりにした観客からは大きな拍手が上がっていた。 取材・文/成田おり枝