レジャー客を脅かす最高時速100kmの水上バイク 罰則付きの乗り入れ禁止条例の効果
水上バイク(オートバイ)の乗り入れを禁止し、罰金や行政罰の過料を科すことを定めた条例を制定する自治体が増えている。遊泳客らの安全を確保するためで、兵庫県明石市が令和4年、和歌山県と沖縄県宮古島市が5年、高知県いの町が今年、それぞれ施行した。関西有数の海水浴場として知られる和歌山県白浜町の海岸付近も今夏から規制水域に加わり、通年で航行が禁止されることになった。 【表でみる】罰則付きの水上バイク乗り入れ禁止条例を制定している自治体 ■子供の近くまで 毎夏、京阪神などからの海水浴客でにぎわう白浜町の白良浜(しららはま)。海水浴場の開設期間は町が付近の海にブイを設置しているため水上バイクは入ってこなかったものの、開設期間が過ぎてブイがなくなる9月になると浜近くを航行していたという。 担当の町職員は「9月に白良浜に遊びに来た人から『水上バイクが近くまで来て子供がけがをしそうになった』といった電話がかかってきていた」と打ち明ける。別の職員も「9月はまだ暑く白良浜で泳ぐ人がいる。水上バイクが近くまで来て『危ないので入れないようにできないか』という電話があったが、取り締まりできないと説明していた」と振り返る。 和歌山県は、規制水域への水上バイクの乗り入れを禁止する県条例を5年4月に施行し、同年7月に和歌山市の一部の海岸付近を規制水域にした。町は今年3月、この規制水域に白良浜付近を指定するよう県に提案し、6月30日から規制水域に加えられた。通年適用され、違反し停止などの命令に従わなければ、「5万円以下の過料(行政罰)に処する」と条例で定められている。 白良浜は例年5月か7月から8月31日、海水浴場を開設。今年は8月に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け6日間閉鎖したことから、町は特別に9月30日まで延長すると決めたが、浜を散策する人がいる10月以降や来年、条例の効果を期待している。 ■各地で次々と施行 和歌山県条例ができたきっかけは、令和3年に兵庫県明石市付近の海で、水上スポーツや遊泳をする人のそばをスピードを出して走る水上バイクの映像がテレビで放映され、社会問題になったことだった。 明石市は4年3月、区域や期間を決めて水上バイクの乗り入れを禁止し、危険を生じさせるおそれのある速力などで航行すれば刑事罰の「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とする市条例を施行した。