「受け入れられる拷問を見つけよ」。米人気コメディアンが卒業式で語った“成功の鍵”
アメリカで毎年注目を集める大学の卒業式のスピーチ。 政治家や経営者など各界の著名人が、時事問題や、自分自身の若い頃の話などを織り交ぜながら、卒業生たちに人生のアドバイスを贈る。 【全画像をみる】「受け入れられる拷問を見つけよ」。米人気コメディアンが卒業式で語った“成功の鍵” シリーズ企画「2024年米大学卒業式、注目のスピーチ」の3回目は、アメリカでは知らない人のいない人気コメディアンのジェリー・サインフェルドを紹介する。 シリーズ1回目:イアン・ブレマー、卒業式での問いかけ「なぜ中東ばかり注目するのか?」 シリーズ2回目:バイデン氏、黒人大学の卒業式スピーチで「家族との死別」を語った理由
「情熱なんてどうでもいい」
サインフェルドが自らの名前を冠し、主役とライターを務めたコメディ番組「サインフェルド」は、1989年から1998年まで続き、アメリカのテレビ史上に残るほど長年人気を保った番組だ。 そんな“お馴染み”のコメディアンは2024年5月12日、デューク大学の卒業式の演台に立った。 アメリカ全土の大学では、パレスチナ自治区へのイスラエル侵攻に講義する学生運動が過熱し、4月後半には逮捕者が続出していた。 そんな状況で開かれたデューク大学での卒業式だったが、サインフェルドはユダヤ系ニューヨーカーであり、一貫してイスラエルを支持していた。 そのためサインフェルドのスピーチが始まる前に、30人ほどの学生たちが抗議の表明として会場から退席、それが多くのメディアに取り上げられたが、彼のスピーチが妨害されることはなかった。 彼のスピーチは、キャリアにどう向かうべきか、人生の中で大切にすべきことは何か?ということにフォーカスしたものだった。 スピーチでまず語られたのが「情熱について」だ。 「君たちは『あなたの情熱を追求しなさい』と言われることに心底うんざりしていることだろう。 私は、『情熱なんてどうでもいい』と言いたい。何か自分にできることを見つけられたら、それでいい。何かに挑戦して、それがうまくいかなかったら、それでもいい。 大抵のことはうまくいかないものなのだから」 サインフェルドは、ただ一つの素晴らしい「私の情熱」を見つけなくてはならない、という考えを捨てよと呼びかけた。 それよりも、何でもいいから自分の能力でできることを見つけ、できる限り一生懸命取り組め、夢中になれるものを見つけろと。 「夢中」のほうが「情熱」よりもずっといい(汗臭くない)と。