ゆるみのないピッチから見えてくる天皇賞・春 井崎脩五郎のおもしろ競馬学
天皇賞(春)で、これまで、最もペースにゆるみがなかったのは、どの年だろう。 そこで、歴年の成績をチェックしてみた。 天皇賞(春)は芝3200メートルで行われるのだが、この3200メートルを、800メートルずつに4区分し、その4区分のどれもが50秒を切っていた年。 これをゆるみのないペースと呼ぶことにして、該当年を探したら、6つの年がそうだった。年度と優勝馬は、次の通り。 <優勝馬> 1993年 ライスシャワー (2番人気) 97年 マヤノトップガン(2番人気) 2012年 ビートブラック (14番人気) 13年 フェノーメノ (2番人気) 15年 ゴールドシップ (2番人気) 21年 ワールドプレミア(3番人気) ご覧の通り、勝ったのは1番人気ではなかった馬ばかり。 これらの年に1番人気になっていた馬はというと-。 1993年 メジロマックイーン 2着 97年 サクラローレル 2着 2012年 オルフェーヴル 11着 13年 ゴールドシップ 5着 15年 キズナ 7着 21年 ディープボンド 2着 これら6頭の負け方は、ゴール前で足元をすくわれたり、いつもの伸びが見られなかったりとさまざまだが、やはり、長丁場で人気を背負い、しかもゆるみのないペースというのは、仕掛けのタイミングが難しいのかも。 この、ゆるみのないペースで展開した6つの年で、スタートから逃げまくり、最終コーナーも先頭で回って、5着以内に粘ってみせた馬が1頭だけいる。1993年のメジロパーマーである。レコード勝ちしたライスシャワーから0秒5差の3着。4番人気での奮闘だった。 メジロパーマーは宝塚記念を9番人気、有馬記念を15番人気で逃げ切った一発長打型だが、すばらしいスタミナを持っていたことが、この1993年の天皇賞(春)から分かる。(競馬コラムニスト)