ススキノ火災を受けて緊急防火指導「避難経路に物を置かないで」
札幌市の繁華街・ススキノの商業ビルで起きた火災を受け、札幌市消防局は29日、ススキノにある似た構造のビル30棟に緊急防火指導をした。「避難経路に物を置かない、燃えやすいものを置かないことを徹底してほしい」と呼びかける。 【写真】札幌市消防局はススキノの雑居ビルに緊急防火指導をした(火災現場とは別のビル)=2024年11月29日、札幌市中央区 火災があったビルは6階建て。41歳の男が火をつけたとみられ、2、3階部分の約60平方メートルが燃えた。同局によると、現場からガソリンの成分が検出されたという。男を含む4人が搬送され、後に40代の男性が不調を訴えて搬送されたとの情報もある。男は意識不明の状態が続いている。 同局によると、当時、ビル内には少なくとも12人がいた。非常階段は屋内の一つしかなかったが、6階にいた5人を含む計10人が階段を使って自力で避難。5階にいた1人は屋上へ避難し、はしご車で救助された。男はビル内で消防隊に救助された。 予防課の担当者は「大惨事にならなかったのは、非常階段に避難の妨げとなるような物が置かれていなかったことが要因だ」と話す。 緊急防火指導は、1階まで通じる階段が一つしかないビルを対象に実施。消防職員らが避難経路や自動火災報知設備の管理状況などを念入りに確認した。 「問題なし」だったビルのオーナーは「事件は特異な事例だとは思うが、テナントさんに火の取り扱いに気をつけるよう、手紙などで注意喚起したい」と話していた。 年末の宴会シーズンを前に、村瀬敬章・消防司令長は「ビルに入る時、一瞬でいいので避難経路を確認する。その意識がけを習慣にして下さい」と話した。 ◇ 同日、消防局は火災のあった商業ビルへの6月の立ち入り検査で、自動火災報知設備の感知器を一部設置していない場所がある、誘導灯の一部が点灯していないなど軽微な違反が8件あり、指導していたことを明らかにした。(上保晃平、原知恵子)
朝日新聞社