源孝志作品「TRUE COLORS」主演の倉科カナ「天草の空が好きでした」
――この「TRUE COLORS」というタイトルに込められた意味をどんなふうに捉えていますか? 「原作小説は『私だけのアイリス』でタイトルが違うんですけど、監督が原作を書く際にきっかけになったのがシンディ・ローパーの楽曲『True Colors』なんですよね。アイリスは虹彩という意味で、人それぞれの色合いだったり、オリジナリティーだったりをイメージしていると思うんです。(松浦)晶太郎(毎熊克哉)は本当の自分の色を探しているし、海咲も、本当の自分を探しているのかな…」 ――今回、演じる上で大切にしていたことを教えてください。 「あまり作り込まないことを大切にしました。共演させていただいた皆さんが本当にすごくて。自分が頭でっかちに考えていくよりは、相手から受けたもので作っていくということをすごく大切にしてました。あと、天草、イタリア、そして東京もとても環境が良く、その自然の力、日光や風を力に変えて撮影していました。監督が自由にやらせてくださったので、本当に海咲として生きた瞬間を切り取ってもらった感じがします」
――継父・多一郎役に渡辺謙さんなど、そうそうたるメンバーとの共演になりますが、共演者の方とのエピソードはありますか? 「謙さんとお芝居できたのがすごくうれしくて。ずっと拝見していた大先輩なので、全てが勉強でした。たたずまいだったり、みんなに対してのフランクさだったり、すごく風通しがいい現場で、私たち後輩にもすごく気を使ってくださって。私と謙さんの役柄は、最初はお互い嫌悪感がある役だったんです。謙さんはすごくフランクな方なのですが、『役を演じるにあたっては仲良くなり過ぎない方がいいね』と気にしてくださって、すごく助かりました」 ――天草での撮影で印象に残っていることがあれば教えてください。 「天草はどこを切り取っても美しくて、その美しさみたいなものが逆に切なく感じたりもして。今回の作品にすごくパワーをいただきました。『海咲はこういうところで育ったんだ』と思うと心が温かくなりましたね。熊本のロケは重いシーンの芝居も多くて、それが朝の真っ暗な状態から夜までずっと撮影が続いていて。気を抜けない日々だったのですが、ご飯や天草の皆さんの人柄に本当に助けていただきました」