「誰にもいっちゃダメだよ」丹波哲郎の子を生んだ美人女優
---------- 『日本沈没』『砂の器』『八甲田山』『人間革命』など大作映画に主役級として次々出演し、出演者リストの最後に名前が登場する「留めのスター」と言われた、大俳優・丹波哲郎。 そんな丹波が、「霊界の宣伝マン」を自称し、中年期以降、霊界研究に入れ込み、ついに『大霊界』という映画を制作するほど「死後の世界」に没頭した。なぜそれほど霊界と死後の世界に夢中になったのか。 数々の名作ノンフィクションを発表してきた筆者が、5年以上に及ぶ取材をかけてその秘密に挑む。丹波哲郎が抱えた、誰にも言えない「闇」とはなんだったのか――『丹波哲郎 見事な生涯』より連載形式で一部をご紹介。 前編記事<「府中に行ったら、タクシーの運転手だって知ってるよ!」“懐かしの名場面”化した、丹波哲郎の愛人騒動とは? > ---------- 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性が絶句
隠し子騒動の裏では…
〝隠し子〟が発覚し、芸能マスコミが押し寄せてくるとマネージャーから聞くと、丹波は、「取材に来たら、ぶん殴ってやる!」と息巻いた。義隆から、「『隠し子じゃない。そのことは家族も全員知ってる』って言いなよ」とアドバイスされても、「殴ってやる!」といきり立っている。 本当のところ、義隆にも青天の霹靂のような話で、当初「隠し子」とは邦子のことと勘違いしていた。母の貞子に確かめると、「知ってるわよ。知らないの、あんただけよ」 と呆れられた。姪の啓子は、丹波本人から、「あのきれいなおねえさん(E子さん)のことは、誰にも言っちゃだめだよ」とかねがね口止めされていた。 丹波は、芸能マスコミと対峙する当日の朝になっても落ち着かなかった。 「どうしよう、どうしよう」とおろおろしている夫に、貞子は、「なに言ってんのよ。『隠し子』じゃないじゃない? 認知してるんじゃないの。それは『隠し子』って言わないわよ。誰に対してだって、隠すことないじゃないの」と尻を叩いた。 義隆は、記者に取り囲まれている丹波を、少し離れたところから見守っていた。万一、父が記者に殴りかかりそうにでもなったら、飛んで行って止めに入るつもりでいたが、父のかたわらのマネージャーが、指で「OK」のサインを出したので、無難に乗り切れそうだとわかった。 貞子は自宅にいた。しかし、ワイドショーの生中継は観ず、あとで親しい歯科医の増田進致に、「パパ、どうだった?」と訊いた。 「いやぁ、堂々としたものでしたよ」 そう言われて、少し安堵したらしかった。 丹波は追い回してくるマスコミを避けるため、再発したガンを抱える邦子を伴って香港に逃れた。