原発事故避難中の心象風景、妻の思い出とともに 福島県広野町の画家・鶴田松盛さん 11日まで楢葉町で作品展
福島県広野町の画家鶴田松盛(まつもり)さん(88)の心象風景画展は9日、楢葉町の地域活動拠点施設「まざらっせ」で始まった。11日まで、東京電力福島第1原発事故による避難生活中に描いた作品を展示している。 福岡県朝倉市出身。中央大法学部卒業後、機械加工の企業に就職した。34歳の時に広野町の工場に転勤した。40歳の頃から本格的に絵を描き始め、国際美術大賞展や日選展など数々の作品展で入賞してきた。双葉郡美術協会を設立し、25年にわたり会長を務めた。 昨年12月に妻の故昌子さん(享年84)の一周忌を終え、追悼の意味を込め、作品展の開催を決めた。原発事故で2011(平成23)年3月から2012年6月まで埼玉県志木市、上尾市に避難していた間に描いた30点を展示している。 地震と津波の恐怖と悲しみ、着の身着のままで逃げた思い、苦労した避難先の住居確保、何ものからも「守ってくれるもの」がないとの心情を「傘が無い」シリーズで描いた。広野町の自宅に戻り、湯上がりの際に化粧している妻の絵で締めくくる。
鶴田さんは「震災から11日で丸13年。人の心は変わっていく。作品を見て、いったん立ち止まり、避難生活を振り返ってもらう機会にしてほしい」と語る。展示は午前9時から午後5時まで。入場無料。鶴田さんが会場で作品を解説する。問い合わせは、主催のならはみらいへ。 (相双版)