「光る君へ」周明に愛はあったのか?松下洸平、複雑な胸中明かす
第24回では、周明がまひろをそそのかして左大臣・道長に宋との交易を促す手紙を書くように迫るも、周明の気持ちが偽りであることを見抜いたまひろは断固拒否。周明は脅迫まがいの行為に出るが、この時の周明の心境について、松下はこう振り返る。
「陶器の破片で脅し、道長へ文を書くよう迫るシーンではまひろに拒絶されてしまいますが、彼女と過ごした時間や交わした会話は周明にとって、きっとかけがえのないものでとても楽しかったのだと思います。それゆえに自分の本当の気持ちと果たすべき使命があまりに裏腹でかみ合わない。自らの出世欲や朱仁聡の期待に応えたいという思いとの葛藤により、張り詰めていたものがプツンと切れ、心がぐちゃぐちゃになってしまった瞬間の突発的な行動だったのかなと振り返っています。そのシーンの最後に「つまらぬ夢など持つな」とまひろに吐き捨てますが、近づきそうだったものが自分の手から離れてしまったことで裏切られたと判断し、大切な人を傷つけるようにして去ってしまう。周明の繊細で脆く、悲しい人物像があらわれた場面だったと思います」
この出来事により周明とまひろは決別することとなるが、周明が朱仁聡から「お前の心の中からは消え去るとよいな」と言われたとき「まひろに対して淡い恋心を抱いていたことに初めて気づかされるという演出をつけていただきました」という。
「実は演出担当の方々と議論する中で、「周明がまひろに恋心を寄せている様子をどこまで見せましょうか?」と何回か相談したことがありました。その瞬間を見せられる場面はいくつかあったのですが、彼女との人間関係が壊れてしまった後に「まひろのことを慕っていたのか…」と自覚する方がドラマチックではないかとの結論に至り、今回の芝居につながりました」と周明のまひろへの恋心の表現について演出と話し合いのすえ、進められたことを明かした。(編集部・石井百合子)