相棒のマスタング! さっきまで普通に走ってたのになんでATレバーが動かんの!? 【ドラマチックな愛車との別れ まるも亜希子編】
独立後に憧れのマスタングをゲット!
大学卒業とともに初めての海外旅行でアメリカのL.Aへ行ったときに、当時現地で大流行していたのが5代目のフォード・マスタングでした。キラキラと光る海辺の道を、マッチョな大男が楽しそうに運転している姿や、金髪の女性が颯爽と乗りこなしている姿を見て、ひと目惚れ。「いつか私も、このマスタングに乗りたい」と憧れながら帰国したのでした。 【画像】フォード・マスタングを見る(6枚) でも、当時は入社したのが欧州のクルマ記事をメインに扱うTipoという雑誌の編集部だったので、アメ車はちょっと別モノという感じでなかなか手に入れることができず……(いやホントは、いま考えるとありえないくらい給料が激安だったので買えなかったというのが正しい)。 そんなこんなでようやく手に入れることができたのは、ひと目惚れから10年が経過し、フリーのカーライフ・ジャーナリストとして独立したころでした。当時はV8が欲しかったけど、中古でもすんごい高くて手が出ず、結果的にはV6モデルに落ち着きました。 ボディカラーはホワイトで、ほぼノーマルの外観はちょっとヤレかけてたけど、一見するとゴツくて強面なのに、どこかフレンドリーさがあるところがお気に入り。ふかふかしたモケットのシートは座り心地がいいし、おおらかな大排気量エンジンも好調でした。 マスタングというと、いまでいうオラオラ系なんじゃないかとか、肉食系のスポーツカーなんじゃないか、というイメージが強いかもしれないんですが、実際にどこへ行くにもマスタングに乗ってみると、ぜんぜん違うということに気がつきました。 たとえば高速道路を普通に走っていても、見た目が怖いからか勝手に前走車がどんどん車線変更していって道をあけてくれちゃうんですが、その期待に応えようとアクセルを踏んでもOHVエンジンはジワーっとしか加速しない。一拍おいてようやくブーンと速度がのってくる感じで、いつも心のなかで「せっかく退いてくれたのにスミマセン」と謝りながら走っていました。 その点、クルージング中のゆったりとした、まるで大船に乗っているような癒しの乗り味はたまらない魅力。「さすが、1日に数百km走ることなんて当たり前のアメリカ生まれだなぁ」と、スケールの大きさを感じさせてくれました。