被災の故郷離れ甲子園目指す 航空石川、山梨で練習へ
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市にある日本航空高校石川は、野球部が3月の選抜大会に選出される可能性を残す。グラウンドは使えず、今後は山梨県で練習を再開して26日の出場校発表を待つ。中村隆監督(39)は「被災した人の前で野球なんてのんきな話はできない」とする一方、「能登はみんなの故郷。人の心の痛みを考え、野球で表現してほしい」と言葉を振り絞る。 学園の法人本部がある山梨から支援物資を車で運んで13時間。10日の夜に到着した校舎は変わり果てていた。春夏通算4度の甲子園出場に導いたグラウンドは陥没したような跡があり、部室は用具や、割れた甲子園の出場記念品が散乱。「想像はしていたが、実際に見るときつい」とぽつりとつぶやいた。 地震当日、生徒は冬休み中で全員が帰省し、約80人の部員も無事だった。神戸市の実家にいた中村監督は5日までに山梨に移動し、後方支援をしながら輪島に戻る機会を探っていた。
寮では部員の野球道具を回収するため、本人と電話をつなぎながら部屋を一つずつ回った。