百貨店で傘商戦…扇風機のファン、アジサイ再現など多彩な品ぞろえ
近畿地方の梅雨入りを前に、傘の売り場が充実してきた。コロナ禍の収束に伴って外出の機会が増加しており、商機とみて品ぞろえを増やす動きも目立つ。大阪市内の百貨店では、小型軽量や晴雨兼用をうたう機能性の高い傘のほか、猛暑に備え、小型の扇風機がついた「変わり種」も登場している。(坂下結子)
阪神百貨店梅田本店は12日、特設売り場を開設した。17日までの予定で、折りたたむと手のひらサイズに収まる傘のほか、光を反射する素材を用いて肌を明るく見せる傘や扇風機のファンを取りつけた傘が並ぶ。
折りたたみ傘を買ったという大阪市内の女性(84)は「持ち運びしやすい小さなものを探しに来た。色々あって迷ったが、明るい色を選んだ」と話した。
阪神百貨店は今年、傘の需要が拡大するとみて、昨年より2割多い約1万2000本を用意した。近年は突然の豪雨に加え、夏場の猛暑も続いていることから、売れ筋は「晴雨兼用や携帯しやすい折りたたみの傘」(売り場の担当者)という。
あべのハルカス近鉄本店も12日、傘のバーゲンを始めた。「税込み1100円」の手頃な商品を多数そろえた。高島屋大阪店は7月中旬に特設売り場を設け、国内の職人が手がけた傘や強い日差しに負けない大ぶりの傘を用意する予定だ。
一方、価格は円安の影響や資材価格の高騰で上昇傾向にある。阪神百貨店によると、今年の特設売り場の平均価格は7000円程度で、担当者は「感覚的には昨年よりも1000円ほど高くなっている」と説明する。
国内に流通する傘の大半は海外製だ。大阪税関によると、昨年輸入された傘のうち、折りたたみ傘は前年比49・1%増の2240万本で、ビニール傘を含む長傘は12・8%減の5688万本だった。折りたたみの需要が拡大しており、背景には日傘を使う男性が増えているほか、「使い捨てのビニール傘をもったいない」と考える人が多くなっていることがあるとみられる。