世界初の客室も?TWILIGHT EXPRESS 瑞風ってどんな列車?
客室は「ロイヤルシングル」「ロイヤルツイン」「ザ・スイート」
客室は編成中の6両に合わせて16室を配置。「ロイヤルシングル」「ロイヤルツイン」「ザ・スイート」の3グレードに分かれています。 1人利用を想定したシングルや、車いすの方でも利用できるバリアフリー対応の部屋もあり、もちろん全室にトイレやシャワーが設置されています。世界初という、1室で1両を丸ごと占有する「ザ・スイート」には、なんとバスタブやプライベートバルコニーも。列車の部屋でお風呂に入れるなんて、まるで夢のようです。各客室に置かれた茶器や桐箱、ハンガーなどには、沿線の伝統工芸品をふんだんに取り入れるなど、ここでも山陽・山陰の伝統や文化に触れることができます。 列車中央部の6号車は食堂車。ここでは料理雑誌「あまから手帖」でおなじみのフードコラムニスト・門上武司氏プロデュースの下、7人の”食の匠”が監修した食事を味わえます。オープンキッチン形式で調理の様子まで楽しめるほか、食材には沿線の名産をふんだんに使用。近くの港で水揚げされた魚を積み込むなど、美味しいものを一番の状態で楽しめそうです。 隣の5号車はラウンジカーで、木を多用した落ち着いた空間に、椅子に腰かける形式の茶の卓や、バーカウンターが備えられます。ちなみに、食堂車は「ダイナープレヤデス」ラウンジカーは「サロン・ドゥ・ルゥエスト」と名付けられており、前者は「トワイライト」の名をここにも受け継いでいます。
最も気になるのが旅行代金は?
そんな「瑞風」で巡る旅は、1泊2日の山陽コース(上り・下り)と山陰コース(上り・下り)、そして2泊3日かけて山陽~山陰を一周する周遊コースの全5コース。各コースとも2~3か所の立ち寄り観光地が設定され、たとえば山陽コース(下り)では、大原美術館や錦帯橋を訪れます。普段は一般非公開の場所へ入れたり、出雲神楽の見学や地引網の実演など、「瑞風」でしか味わえない体験ができるのも魅力です。 そして、最も気になるのが旅行代金。1泊2日の4コースでは、2人1室で1人25~75万円、2泊3日の周遊コースでは47~120万円(いずれも9月分は3~5万円アップ)となっています。JR九州が運行する「ななつ星 in 九州」が1泊2日コースで30~68万円、「TRAIN SUITE 四季島」が同じく32~45万円ですから、それより安い価格設定の部屋もあることになります。 とはいえ、「トワイライト」の最上級客室・スイートが1名約6万円(食事を含む)だったことを考えると、実に4倍以上。そんな点でも、まさに特別な列車となりそうです。 デビューまであと半年となった「瑞風」。現在は試運転のほか、乗りこむクルーの研修や、大阪駅などへの専用ラウンジ設置、立ち寄り駅の改修などが進められています。「美しい日本をホテルが走る。」をコンセプトに、沿線のさまざまな魅力と鉄道旅の楽しさを伝えてくれる、新たな豪華寝台列車のデビューが、今から楽しみです。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。