役がハマったときの真矢ミキはすごい 涙活にも役立つ『さくらの親子丼』
真矢ミキが連ドラ初主演で話題となっている『さくらの親子丼』(東海テレビ・フジテレビ系)が7日にスタートした。真矢が演じるさくらが営む古書店「九十九堂」には、行き場をなくした人たちが集まる。店の奥に「たまりば」という一室があり、さくらは訪れたワケありの人々を特に詮索することなく無料で親子丼を提供している。あまりのうまさに心まで温まった人々は、少しずつさくらに打ち解け、自らの事情を明かしていく。 今にも社会からドロップアウトしてしまいそうな人々に対し、さくらは何か特別な手段を持って救いの手を差し伸べるわけではない。ただ優しく受け入れ、美味しい親子丼で冷え切った心身を温め、とにかく寄り添うように、時には涙を流しながら、悩みや哀しみ、苦しみを受けとめる。
ほぼ10分に一度押し寄せる「泣ける」場面 ハマったときにすごさを見せる真矢の演技
最近、涙腺がゆるくなってきたのだろうか、ほぼ10分に一度の割合でジーンと目頭が熱くなってしまった。それもそのはず、脚本を手がけているのは「3年B組金八先生」(第7・8シリーズ)はじめNHK朝ドラ「あぐり」「すずらん」などを手がけた清水有生さん。清水さんには板橋区役所でケースワーカーとして10年間勤務した経験もあり、ドラマを通して現代社会に生きる人々を見つめることに長けている。 ともすればあざとさが鼻についたり、臭くなりがちなこの種のドラマだが、「さくらの親子丼」には不思議なぐらい、それがない。自然に泣けてしまうのだ。真矢の芝居が場を引っ張っているのも大きいのではないだろうか。最初、失礼ながら真矢の映像作品での演技は、どこかいまひとつピンとこなかったのだが、前クール、「黒革の手帖」で老舗クラブのママ役を好演しているのを見て、役がハマッたときのハマり具合がすごい女優さんだなと感じた。こうした人情モノにも、しっくりくるのかもしれない。
そして、主役でもある「親子丼」がじつに美味しそう
そして、「親子丼」が実にうまそうに撮れていることも付け加えたい。なにしろ重要なキーアイテム、これが魅力的に見えなければ白けてしまうところだが、放送を見終わった土曜深夜、コンビニに親子丼を探しに出かけてしまったぐらい美味しそうなのだ。甘そうな黄身の色、出来たての親子丼の極上のふわとろ感が伝わってくる。撮影だけではなく、役者の食べっぷりがいいから余計だろう。ところでその親子丼、実際に真矢が作っているのだろうか? 制作発表会見では、真矢は、ドラマで親子丼を作る練習のため、家で夫に作ったと語っていたようだが……。 そのさくらにも、たまりばを訪れる人々のように語りにくい過去があるようだ。どうやらそれ故、たまりばを作り、心を解きほぐすべく絶品の親子丼を食べさせているようなのだが……。新しい理想のヒロイン像に挑む真矢。共演陣も吉本実優、塚田僚一(A.B.C-Z)、本仮屋ユイカら魅力的なキャストを揃えた。 次も観たい度 ★★★☆☆ (文・志和浩司)