「虎に翼」よねのような“男装の麗人”は実在した? 専門家は「明治期の男装には三つのパターンが」
史実をきちんと反映
ならば、よねの男装はどれに該当するのか。 「今のところの彼女は、その悲しい過去を踏まえれば、一つ目のパターンです。ただし、司法試験に受かるなどして社会に進出していけば、二つ目の意味合いが大きくなるでしょう。いずれにしても、よねの男装は史実をきちんと反映しており、かつ、女性の社会進出という物語のテーマにも沿っている。巧みなキャラクター設定だと思います」(同) 「虎に翼」で風俗考証を務める、時代考証家の天野隆子氏はこう語る。 「私は40年以上も昔、『おしん』の頃から朝ドラで考証を担当してきました。常に朝ドラは“女性の強さ”を表現してきたのですが、その描き方は時代と共に変遷しています。今回の『虎に翼』ほどはっきりと女性の社会進出をテーマに据えた作品は過去になく、そんな新味もヒットの一因になっているのでしょう」 昭和初期に実在したであろう男装の麗人が、時を経て現代の朝ドラで注目を浴びる。まさに、テレビは時代を映す鏡である――。 「週刊新潮」2024年6月13日号 掲載
新潮社