金平会長が休会届け提出。復活希望も「協栄ジム」名称使えず60年の名門ジムは消滅に具志堅用高氏「寂しい」
プロボクシングの名門、協栄ジムの金平桂一郎会長(54)が9日、加盟していた東日本ボクシング協会に休会届けを提出した。5年前に事実上、経営権を譲渡したオーナーとの関係が今年に入って悪化。先月27日に契約解除を通告され、再協議を申し入れたが、応じられなかったため休会を決意したという。金平会長は契約解除の不当性や一部不透明な経理について争う訴訟の準備に入った。また金平会長は、ジム再開への意欲を示したが、5年を過ぎれば自動的に退会となる。協会側は試合の決まっている選手を無視して休会した経緯を問題視、再開についてハードルを設ける姿勢を明らかにした。さらに「協栄ジム」の商標権を現在の運営会社に押さえられているため、再開する際にも「協栄ジム」とは名乗れず、またジム存続の意向の現運営会社が新しいオーナーを立てて継続する場合も協会側が同じ名前を使うことを認めない意向で事実上、60年の歴史のある「協栄」の名がボクシング界から消滅することになった。
金平会長は、この日、代理人である太田貴裕・弁護士を伴って東京都文京区にあるJBC(日本ボクシングコミッション)を訪れて休会届けを提出することを報告、その後、近くの東日本ボクシング協会の事務所に足を運び、9日付けの休会届けを提出して受理された。9日をもって13人の世界王者を生んだ名門、「協栄ジム」の名は加盟ジム名簿から消えて消滅することになった。 メディアの取材に応じた金平会長は、「いろいろな理由がありますが、私の不徳のいたすところ。父も草場の陰で泣いているんではないかと思っております。どんなことがあっても父は40年間、ジムを守ってきました。それを私が20年目にして……申し訳ない。何より選手が一番。すべての方にお詫びを申し上げたい」と、選手、関係者、ファンらに謝罪した。 金平会長と弁護士の説明によると、先代の借金に加えて、2012年3月の元WBC世界スーパーフライ級王者、佐藤洋太の世界挑戦実現に莫大な費用がかかるなどして経営が悪化。自社ビルを売却し、2014年9月末には、経営権と「協栄ジム」の商標権をスポンサー企業に譲渡した。新たに運営会社が設立され、金平会長は、その会社から業務委託という形でジムの運営を任され、毎月、業務委託費が振り込まれていた。譲渡の際、大きな売却金が動いたとの話も出ているが、金平会長は「それはございません。何千万とかの契約金もありません」と否定した。 当初からジムを維持するための諸経費や金平会長の交通費などが支払われず「自腹で払っていた」との問題も抱えていたが、今年に入って「運営会社から情報がこなくなり、定期的な経営会議にも呼ばれなくなり経営から遠ざけられた」(太田弁護士)という。 7月末に数十万円の業務委託料が、約半額にされ、11月27日には、「会長としての職務を果たしていない」との理由で契約解除を文書で通告された。